Hitachi

社会インフラ製品などの性能を
高精度・短時間で予測する解析技術を開発

日立は、ビルの空調機など、複数のコンポーネントから構成される製品の性能を短時間で高精度に予測する技術としてマルチフィデリティ*1解析技術を開発しました。従来は、1次元解析や3次元解析などを個別に用いてコンポーネントやサブシステムといったグループごとに行っていた解析を一括で行うことで、解析時間の短縮と予測の高精度化を実現し、製品の開発設計の短期間化などに貢献します。

空調機の性能評価時間を約2.5日から約10分に短縮

都市や産業の発展に伴い、空調機などのインフラを担う製品も大規模化や複雑化が進んでいます。そのため、製品の開発設計に際しては、製品全体の性能を短時間で高精度に予測できる解析技術が求められています。しかし、これまではコンポーネントの高精度予測には構造解析や流体解析など膨大な時間を要する3次元解析を使用し、システム全体の性能予測には1次元解析を使用するなど、設計者が目的に応じて解析手法を選択していたため、製品全体の性能を短時間で高精度に予測することは困難でした。日立は、性能予測に要求される精度に応じて解析モデルを任意に選択・調整して組み合わせることで、コンポーネント、サブシステム、製品全体を一括して解析できるマルチフィデリティ解析技術を開発しました。製品の稼働データを用いて解析を高精度化するとともに、ビッグデータの分析手法や統計手法を活用して高速化を実現。ビルの空調機のCOP*2予測への適用例では、従来約2.5日要していた解析時間を約10分に短縮し、予測誤差の改善も確認できました。今後は、社会インフラ製品の設計などに適用することで、信頼性の高い製品を短期間に開発できる効果などが期待されています。

*1
フィデリティ:事象を表現する忠実度・詳細度のこと
*2
COP:Coefficient Of Performance
空調機などのエネルギー消費効率の目安に使われる係数
  • 公開日: 2015年10月8日