中国の製造業の発展には、資源問題、環境問題、コスト高騰などのさまざまな課題があり、昨今、産業構造の変革とアップグレードが求められています。2015年、中国政府は「中国製造2025」という長期戦略を打ち出し、デジタル技術と製造業を深く融合させ、効率の高い製造業をめざす「スマート製造」への急速な発展をめざしています。
中国の製造業は改革時期に入っており、数多くの企業が「スマート製造」に関心を寄せています。また、「スマート製造」の重要な取り組みとして、サプライチェーン等を最適化するソリューションに対する市場ニーズが急速に高まっています。そこで日立は、長年に渡り培ってきたIT(Information Technology)、OT(Operational Technology)分野における知見を基にサプライチェーン最適化ソリューションを提供し、製造現場のIoT(Internet of Things)化をはじめ、企業のスマート製造の実現を支援しています。その1つの事例である東陶(上海)有限公司(以下、TOTO(上海))とのプロジェクトをご紹介します。
「生産性の向上には、効率だけではなく、在庫や調達、配送に至るまで、全てを改革しなければなりません。そのため、TOTO(上海)はこの課題にトータルソリューションで応えられるパートナーが必要でした。」
-- 阿部剛士 TOTO(上海)董事 総経理(取締役 社長)
TOTO(上海)は設立からすでに20年が経ちました。このたびのサプライチェーン最適化プロジェクトについて、TOTO(上海)が日立へ求めていたのは、今ある生産および管理プロセスの見直しのため、先進的なIT技術を通して生産と管理システムをスマート化し、質の向上や効率のアップという目標を達成するということでした。
「生産性向上の実現。これは当社にとってあらゆる作業に関わる課題です。今までの作業は人に頼ることも多く、生産効率に影響を与えていました。」
-- 徐 歓英 TOTO(上海)生産管理部 副部長
日立では、プロジェクトをコンサルティングとオペレーションという2つの段階に分けています。コンサルティングの段階において、TOTO(上海)の実績データを細かく収集し、全体運用の効率化に向けてITコンサルティングツールの活用による定量分析を行い、客観的な根拠を示しました。オペレーションの段階では、業務に適用でき、また、データの共有を基礎とした生産、調達、配送、倉庫が繋がるサプライチェーン最適化ソリューションを提供することによって、TOTO(上海)の業務効率改善という課題解決をサポートしました。
注釈:
コンサル計画のITツール:
・事業評価シミュレーションツール
(NEXPERIENCE/Cyber-PoC(Proof of Concept))
・在庫可視化(PSI Visualizer)
具体的なITツール:
・EDI(TWX-21)
・WMS(ONEsLOGI)
・TMS,GPS
現在、TOTO(上海)は日立の協力のもと、サプライチェーンシステムの導入と最適化・高度化を実施し、業務の可視化ならびに効率化を実現した業務システムを構築しました。スマート管理システムの導入後は各プロセスにおいてリアルタイムな接続と正確な情報共有を実現し、TOTO(上海)の製造現場に生産性アップをもたらす、「スマート製造」を実現しました。
「コンサルティング提案段階では、当社の実績データに対し、ITツールを導入し、分析して頂きました。シミュレーションの結果は精度が非常に高く、サプライチェーン全体の改善策として最終的にどのような案を採用するかを定量的に判断する際に参考になりました。システム導入にあたって、人手による作業が減少し、作業ミスも少なくなりました。」
-- 徐 歓英 TOTO(上海)生産管理部 副部長
「製造」から「スマート製造」への発展をめざす中国において、日立はサプライチェーン最適化ソリューションで、変革する市場に対応する製造企業を支援します。日立は、先進的なデジタル技術を活用し、調達、配送などの業務を高精度化・可視化し、効率的な業務の仕組みを構築することで、未来へ挑戦する企業をサポートします。
公開日: 2019年1月
ソリューション担当: 日立(中国)有限公司・スマート製造事業推進本部