近年進展するeコマース市場において、ユーザーから求められるのは「欲しいものを、欲しいときに」届けること。こうしたニーズに対応し、多種多様な商品をお客さまのもとへ迅速に配送するため、効率的な配送システムの確立が求められています。豊富な品ぞろえと多くの商品を当日・翌日出荷するサービスで躍進する株式会社MonotaRO(以下、MonotaRO)では、1日に数万件以上もの配送に対応する広大な物流拠点の自動化・省力化の要として、日立の自動搬送ロボットが活躍しています。
各種産業用途に使われる消耗品、整備工具や各種関連用品など間接資材を扱うeコマース企業のMonotaRO。1日に数万件以上のオーダーを取り扱っており、多くの商品をより一層早く、正確にユーザーに届けるためには、物流拠点が要となります。
日立は、同社の東日本地域の物流拠点で、茨城県笠間市にある「笠間ディストリビューションセンター」の構築に、早くから参画してきました。多種多様な商品を扱う物流拠点における大きな課題は、配送する商品を棚から取り出して仕分けるピッキング作業の効率化です。一般的に、作業者が商品を取るために歩く時間は1日の作業時間の約半分以上にも及んでいます。
この課題を解決すべく、日立が提案したソリューションは、小型・低床式無人搬送車「Racrew(ラックル)」の導入でした。日立は2014年より、工場の製造ラインや倉庫業・通信販売業の配送センター向けのロジスティクスソリューションのひとつとしてRacrewを提供してきました。Racrewは、データの指示に従って自律走行し、部品や商品が保管されている棚の下に潜り込み、棚を持ち上げて指定位置まで搬送する自動搬送ロボットです。
笠間ディストリビューションセンター
小型・低床式無人搬送車「Racrew」
Racrewはデータアナリティクスのノウハウを活用した分析・シミュレーションを行うことで、渋滞の少ない搬送ルートを選択するなど搬送効率を改善させる機能を有しています。また分散型システムを採用しており、1台にトラブルがあっても他のRacrewがカバーする柔軟性も持ち合わせています。
笠間ディストリビューションセンターでは、Racrewが商品の入っている棚を作業者の前まで運ぶことで、作業者自身が移動することなく商品をピッキングすることができ、作業者の歩行距離を限りなくゼロに近づけることに成功しました。現在、154台のRacrewが1日に約1,300キロメートルの距離を走行しており、ピッキングオペレーションは大幅に効率化され、生産性は約2倍に向上しました。Racrewが活用されることで、受注から出荷までの時間短縮など効率的な配送システムの確立に貢献しています。
日立はRacrewを中心とした物流センターの高度化サービスはもちろん、サプライチェーン全体の最適化サービスにも取り組みながら、ロジスティクス革新を推進していきます。