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再エネで「ねぶた」を夜間点灯、「環境配慮で、ねぶたの伝承と発展に貢献」

ねぶた祭での日立の挑戦を動画で見る

東北の夏を燃え上がらせる夏祭り、青森ねぶた祭。50年以上にわたって祭に参加している日立は今回、太陽光由来のエネルギーで点灯するねぶたで出陣。これは、長い歴史を持つ青森ねぶた祭で初めての取り組みです。その挑戦を取材しました。

3年ぶりに開催された青森ねぶた祭り

日立連合の凱立会による囃子

ラッセラー、ラッセラー、ラッセ、ラッセ、ラッセラー。ねぶたが載った山車(だし)の前で、囃子(はやし)に合わせて特長的な掛け声をあげて街を練り歩く――。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっていた「青森ねぶた祭」が2022年8月、3年ぶりに開催されました。沿道では多くの観客が拍手で盛り上げるなど、街は熱気に包まれました。

ねぶたの取り組みを先導する、日立製作所の川内英明さん

日立製作所は1965年から「日立連合」として青森ねぶた祭に参加。日立連合ねぶた委員会の会長を務める川内英明さんは、「地域社会の発展と日立グループのブランド価値向上だけでなく、国の重要無形民俗文化財の伝統を継承すべく活動しています」と話します。

再エネで青森の夜を照らす

日立のねぶた、テーマは平安時代の「一ノ谷の戦い 熊谷次郎直実」

日立連合のねぶたは、平安時代末期に起きた「一ノ谷の戦い」をテーマにしたもの。制作したのは、ねぶた師の北村蓮明さんで、熊谷次郎直実と若武者の戦いが、勇ましく描かれています。

多くの人がねぶたを写真や動画に残した

青森の夏夜を色鮮やかに照らした日立のねぶたですが、川内さんは、「歴史ある青森ねぶた祭で、今回、これまで誰もやったことがないことに挑戦しました」と話します。

太陽光パネルとねぶたの前では多くの人達が足をとめた

ねぶたは通常、ディーゼル発電機を使用して点灯するため、CO2が発生します。しかし、今回のねぶたでは、昼間に太陽光パネルを使って充電した蓄電池をねぶたに搭載することで、ねぶたを点灯させました。これにより、青森ねぶた祭の期間中、CO2の排出量を約170キログラム削減しました。

「太陽光由来の再生可能エネルギーを使用しているので、クリーンに点灯させることができました。国内外から多くの観光客が訪れるねぶた祭を末永く楽しんでもらうためにも、日立がCO2削減に貢献する取り組みを先導することが大事だと思い、今回挑戦しました」(川内さん)

ねぶたの伝承と発展に貢献

総重量約4トンのねぶたを約3キロメートル引く

およそ2年前から再エネに切り替えられないか検討していたという川内さん。今回の挑戦には、多くの苦労があったといいます。

「周りからは、『ねぶたを2時間半ライトアップする2,000個のLED電球の電力をまかなえるのか』『発火したらどうするんだ』という懸念の声をいただきましたが、点灯テストを繰り返したり、冷却ファンを設置したりすることで、安全性と実行性を検証しました。初めて点灯できた瞬間は心から感動したのが本音ですね」(川内さん)

こうした苦労を乗り越えた日立のねぶたは、8月5日に行われた審査会で、観光コンベンション協会会長賞を受賞し、入賞を果たしました。

日立のねぶたは沿道の市民や観光客を魅了した

環境負荷を軽減しつつ、ねぶたと人々の心を照らした日立のねぶた。今後の抱負について、川内さんは、「日立がめざすカーボンニュートラルの実現に向けて、私達ができることに積極的に取り組みながら、ねぶたの伝承と発展に貢献していきます」としています。