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社会イノベーション

「在宅勤務やジョブ型を推進」
人財担当役員が語る日立の「新しい働き方」とは

日立製作所のCHRO(最高人事責任者)を務める中畑英信執行役専務
日立製作所のCHRO(最高人事責任者)を務める中畑英信執行役専務

日立製作所は5月26日、新常態(ニューノーマル)を見据えた「新しい働き方」を発表しました。新しい働き方では、在宅勤務の活用を標準として、「働き方の多様化」を推し進めます。それと同時に、社員の生産性を向上させるため、業務や役割、期待成果を明確にする「ジョブ型人財マネジメント」への転換を加速させます。

日立はなぜ働き方を転換しようとしているのでしょうか。日立が見据えるニューノーマルの働き方とはどのようなものなのでしょうか。日立のCHRO(最高人事責任者)を務める中畑英信執行役専務に話を聞きました。

在宅勤務への移行でわかったメリットと課題

――まず最初に、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、どのような取り組みを行ったのか教えてください。

中畑執行役専務(以下、中畑):第一に考えたのは、お客様、取引先、協力企業、そして日立で働く従業員とその家族の安全と健康です。そのために在宅勤務を徹底してきました。以前から在宅勤務の拡大に向けた制度やIT環境の整備を進めていたので、大きな混乱を招くことなく在宅勤務に移行することができました。

――在宅勤務を徹底してきたということですが、どのくらいの社員が在宅勤務になったのでしょうか。

中畑:日本における緊急事態宣言後の在宅勤務率は、7都府県で8割超、全国でも7割となっており、感染予防対策に努めることができました。5月に行った日立製作所の社員を対象とした在宅勤務に関するアンケートではメリットと課題が浮き彫りになりました。

――どのようなメリットや課題があったのでしょうか。

中畑:アンケートでは、「通勤時間を有効に活用できる」、「業務に集中できる」などの声が寄せられ、在宅勤務により業務効率が上がった、または変わらないといった声が50パーセントありました。その一方で、効率が下がったという声も50パーセントあり、「PCの反応速度が遅い」、「押印や印刷ができなくて業務に支障が出る」といった意見がありました。

また、「やるべき業務をどう明確にし、成果をどう評価するか」ということも、在宅勤務を進める上で課題になることが分かりました。これまでは、対面で業務指示を出していたやり方が、在宅勤務になった結果できなくなり、個人の業務状況の把握や評価がしづらくなったからです。

日立がめざす「新たな働き方」とは


――在宅勤務を進める中で、いろいろな課題が明らかになりましたが、それでも在宅勤務を標準とした働き方を推進すると発表しました。その狙いについて教えてください。

中畑:今回のコロナ危機を受けて、以前の働き方に戻るのではなく、「新常態(ニューノーマル)」に移行していくべきと考えました。コロナ禍においても事業を継続する体制を作り、生産性の向上や多様な働き方を実現するという観点から、「ウィズコロナ」を前提とした新しい働き方に舵を切ることが必要だと考えたのです。

そこで、原則、在宅勤務を7月末まで継続する方針を出すと同時に、日立はどのような働き方をめざしているのかを社内外に発信すべきだと考えました。

――社会インフラを担う日立だからこそ、事業を継続できる体制構築が求められると思います。社員に対してはどのような働き方を期待していますか。

中畑:日立はグループ全体で、世界中に従業員が30万人ほどいます。それだけ多様な人財を抱える日立においては、さまざまな価値観や強みを発揮して、活躍できるようにすることが重要です。

今回、原則的に在宅勤務とすることを実施した結果、日立の社員が場所や時間を超え、シームレスに働くことを経験しました。このような働き方を実現することに加え、先ほど申し上げた「やるべき業務をどう明確にし、成果をどう評価するか」という課題を解決するためには、日立が以前から進めていた「ジョブ型人財マネジメント」への転換を加速させることが必要だと考えています。

――「ジョブ型人財マネジメント」とはどういったものでしょうか。

中畑:ジョブ型人財マネジメントとは、社員が自分がめざすキャリアを明確化する一方、会社は職務や必要なスキルなどを明確化し、その仕事を担える人財を年齢や属性にかかわらず本人の意欲や能力に応じて登用していくための考え方です。

そうすることで、多様な人財がそれぞれの専門性を生かした形で働けるようになり、仕事の内容や遂行能力に応じて適正に処遇を決定することに繋がります。

――「ジョブ型」へ切り替える狙いについて教えてください。

中畑:在宅勤務によって、社員の働く姿が見えにくくなったため、業務上の成果や貢献を適正に評価できるかがより一層重要になっています。「ジョブ型」のマネジメントのしくみを導入することにより、業務をしっかりと定義して、誰がどのような業務をどう進めていくかについて「見える化」することができるようになります。

評価をする側、される側、双方の納得感が高まるため、在宅勤務活用を標準とした働き方においては、「ジョブ型」への切り替えが必須であると考えています。また、社員がキャリアパスを意識して、自らキャリアを作っていくことにつながるのもよいポイントです。管理職ではすでに、2014年度に「ジョブ」を基軸とした人事処遇システムに転換しています。今後は非管理職への導入も進めていきたいと考えています。

新しい働き方と日立が見据える未来


新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が広がっている(Photo by Getty Images)

――今回発表された新しい働き方は、とても先進的なものだと感じましたが、一方で、社内には反対する人もいたと思います。

中畑:自宅で仕事をすることは、業務効率の良し悪しだけではなく、家族の理解も必要となります。こうしたことから、働き方の転換に苦労するという声がありました。

しかし、企業活動を行う上では「ウィズコロナ」を前提とした働き方への転換は必須であるとともに、「ジョブ型」への移行を進めるよい機会でもあると考えています。社員の声にしっかりと耳を傾けながら、新しい働き方の有用性について理解してもらい、推し進めていけると考えています。

――新しい働き方への転換という日立の挑戦は、他の企業も注目していると思います。日立の働き方がうまくいくかどうかは、日本企業にとっての試金石となるのではないでしょうか。

中畑:世界各国の社員がグローバルに活躍するためには、世界の標準に合わせた制度が必要だと考えています。その点で、在宅勤務活用を標準とした働き方、そして「ジョブ型」に転換していくことは、グローバルで事業を行う日本企業の在り方として一つのモデルを示すことになるのではないかと思います。

――新しい働き方への転換はうまくいくでしょうか。

中畑:「ジョブ型」へ転換することで、社員一人ひとりが時間や場所に縛られず、専門性を高め、生産性を向上させることができると考えております。そして、誰もが働きやすく、イキイキと仕事に取り組めるようにしていきます。社会イノベーション事業を担う日立だからこそ、社会の構成員である社員が一丸となって取り組めば、必ず新しい働き方を実現していくことができると思います。

  • 公開日: 2020年7月1日
  • 取材・執筆: 寺本吉宏

    Withコロナ時代のニューノーマルな働き方

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