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「エネルギーの変革を推進する」 日立ABBパワーグリッド社が発足
近年、世界的な気候変動や異常気象が深刻化し、私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。こうした問題に対処しようと、世界中の国や企業が取り組んでいるのが「脱炭素社会」の実現です。この脱炭素社会を実現するには、太陽光や風力などを活用した再生可能エネルギーの導入が重要となっています。
また、EV(電気自動車)をはじめとしたモビリティの電動化、データセンタの拡大により、世界的な電力消費量が増加。エネルギーの消費スタイルが多様化することで、電力を制御する高度な技術が求められています。こうしたエネルギーの変革期に欠かせないのが、「パワーグリッド」の技術です。
日立はスイスの重電大手ABB社のパワーグリッド事業を買収し、「日立ABBパワーグリッド社」を設立。7月1日に営業を開始しました。
同社のCEOを務めるクラウディオ・ファキン氏は、「日立にもABBにも、テクノロジーとエネルギーの未来に対する強い情熱がある。我々は、世界中のお客さまとの協創を通じて、エネルギーの変革を推進していく」と意気込みを語りました。
「脱炭素化」のカギはパワーグリッド
都市化や電力消費量の増加によって、二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量が近年急激に増加しています。これにともない、異常気象や海面上昇などが発生し、地球全体に甚大な被害が出ています。そこで、地球温暖化の原因である温室効果ガスを削減し、脱炭素社会を構築するための動きが世界中で広がっています。
特に、太陽光発電や風力発電、地熱発電などによる「再生可能エネルギー」を導入することは、脱炭素社会を実現するために重要だといわれています。しかし、再生可能エネルギーは天候などに依存することから、安定した供給が難しく、発電量の事前予測や貯蔵されたエネルギーの管理が必要です。そのために欠かせないのが、電力ネットワークを安定させるための保護制御システムや遠隔監視制御システムなどを含む送配電網を意味する「パワーグリッド」です。
パワーグリッド分野では今、イノベーションが急速に進んでおり、再生可能エネルギーの普及や脱炭素社会の実現を支える技術として、期待が寄せられています。
日立ABBパワーグリッド社の強み
こうした状況の中、日立は2018年12月、スイスの重電大手ABB社のパワーグリッド事業の買収を発表。2020年7月1日から、日立ABBパワーグリッド社として営業を開始しました。
日立ABBパワーグリッド社は、90カ国に約3万6000人の従業員を擁し、グリッドオートメーション、グリッドインテグレーション、高電圧開閉装置、変圧器など世界シェア1位の製品を数多く生産しています。「世界中の社員が、どのようなテクノロジーがマーケットで開発されているのかを見極めながら、それぞれの地域の課題と日々向き合っています」(ファキンCEO)。
日立とABB社は、両社とも100年以上の歴史を持つ企業で、それぞれが培ってきた実績と伝統を新会社に継承しています。ABBのパワーグリッドソリューションと日立のデジタル技術を組み合わせることで、社会が直面しているエネルギーの課題に取り組みます。
日立製作所の東原敏昭社長は、7月2日に開かれた記者会見で、「日立とABBは、歴史だけでなく、企業文化にもたくさんの共通点があります。これこそが、今回立ち上げた新会社の成長のカギになると確信しています。“優れた自主技術と製品で社会に貢献する”という日立の企業理念をともに形にしていきたい」と語りました。
「エネルギーの課題に応えるグローバルリーダーをめざす」
日立ABBパワーグリッド社は、エネルギーの領域のみにとどまらず、さまざまな産業分野にもソリューションを提供していく予定です。Lumadaをはじめとする日立のデジタル技術を組み合わせることで、モビリティ、ライフ、インダストリーといった分野にも事業を拡大していくことを視野に入れています。
「コロナ禍でデジタル技術の活用が加速度的に拡大し、今後、電気エネルギーは益々重要なライフラインになるでしょう。今回の新会社の発足により、日立が持続可能な社会づくりに貢献できる大きなチャンスが訪れると信じています」(東原社長)
さらに、日立とABB社がそれぞれ独自に培ってきたOT(Operational Technology、制御・運用技術)と日立の強みであるITを活用して、中長期的には5GやAIを活用したソリューションを生み出していくといいます。
「私たちは、社会の課題を解決する社会イノベーションというビジョンのもと、お客さまを第一に考え、世界中のエネルギーの課題に応えるグローバルリーダーになることをめざします」(ファキンCEO)
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