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社会イノベーション

    • ライフ&エコノミー

    次世代産業としての成長が期待される中国介護産業

    中国社会は、生活水準の向上や平均寿命の延びなどを受けて高齢化が急速に進んでおり、2020年には、国内60歳以上の人口が総人口比約17.8%の2.55億人程度まで増加すると見込まれている*。こうした高齢化時代の到来に伴って、高齢者の生活保障問題が家庭から社会全体の課題へと変わりつつある。それと同時に、健康・介護産業は、市場規模として何兆人民元にも及ぶ重要な次世代産業としての成長が期待されている。

    日立ソリューションズ(中国)(以下、日立)は、中国が直面する高齢化社会の課題解決に向け、2014年から綿密な市場調査を行ってきた。その結果、中国政府が「在宅介護事業」を政策として推進していることを踏まえ、在宅介護を中心とした地方政府向けソリューション「インターネット+スマート介護サービスプラットフォーム」の開発に着手することを決めた。

    * 出典:国務院の第13次5ヵ年計画国家高齢事業発展及び介護体制整備計画策定に関する通知

    事例の概要

    • 課題
      高齢者介護問題は、家庭から社会全体の課題へと変わりつつある。平湖市では、深刻な高齢化に対応し、介護の需給バランスを保つため、高齢者ニーズを満たすサービス供給構造の改革が喫緊の課題となっていた。
    • 解決策
      日立は、高齢者の実際のニーズに対応するため、高齢化社会における社会介護サービスインフラとなり得るITサービスプラットフォームを構築し、サービスの提供を開始した。
    • 成果
      「インターネット+地域在宅介護サービスプラットフォーム」と「スマート高齢者福祉サービスプラットフォーム」はすでに運用が開始され、スマート介護を実現するとともに、平湖市民政当局による管理を積極的に支援している。
    • 展望
      日立は、IT技術とビッグデータプラットフォームを最大限に活用し、高齢者のより質の高い生活を創造し、「健康中国2030」*に継続的な貢献をしていく。

      * 健康中国2030:中国政府が推進する国民の健康を向上させるための行動綱領

    課題

    介護問題の深刻化により、高齢者ニーズを満たす改革が喫緊の課題に

    浙江省平湖市

    経済成長や医療保障制度整備に伴い、中国浙江省嘉興市・平湖市の60歳以上の人口は、2017年末時点で居住者人口比27.37%の12万人に達した。さらに、毎年約5000人のペースで増加している。平湖市の高齢化水準は浙江省でも上位10位に入り、国内平均を大きく上回ったため、深刻な介護問題にさらされている。介護問題は家庭内の問題から社会全体の課題へと変わりつつあるため、深刻な高齢化に対応するよう介護の需給バランスを保ちながら、高齢者ニーズを満たすサービス供給構造の改革が喫緊の課題となっているのだ。

    解決策

    高齢者ニーズを中心に据えたITサービスプラットフォームを構築

    日立は、中国政府が「在宅介護事業」を推進するという背景を踏まえ、2014年から市場調査を進め、在宅介護に焦点を当てた以下2つのITサービスプラットフォーム開発に取り組んだ。

    ●地域在宅介護センター向け「インターネット+地域在宅介護サービスプラットフォーム」
    ●平湖市政府向け「スマート高齢者福祉サービスプラットフォーム」

    目標は、高齢者ニーズに対応するサービスを提供し、高齢化社会における社会介護サービスインフラとなり得るITサービスプラットフォームを構築すること。日立は日本での経験をそのまま持ち込むのではなく、中国の実情と高齢者の具体的な要望に応じて、現地ニーズに合ったソリューションを提案し、地域密着で貢献している。「屋内測位システム」(Indoor Positioning System:IPS)技術は、センサーで高齢者の屋内での位置を測定し、その行動状況の詳細を把握できるというもので、その情報を離れた場所にいる家族や介護センターの関係者などと共有することが可能だ。

    第1段階となる「インターネット+地域在宅介護サービスプラットフォーム」の構築は、2015年10月から始まった。2016年2月には「インターネット+地域在宅介護サービスプラットフォーム」による地域在宅介護センターのゼロからの整備に着手。平湖市民政当局との協創によって、同市初となるスマート地域介護センター「水洞埭地域在宅介護センター」の建設を短期間で終えると、「インターネット+地域在宅介護サービスプラットフォーム」の運用を開始した。さらに同年12月には、地方政府が高齢化に対応するための「スマート高齢者福祉サービスプラットフォーム」の開発に着手。これは、公共システムと高齢者に配布したスマート端末をつなげることで、両親と離れて独立した子どもでも24時間、両親の安全を確認できるサービスだ。

    日立の目標は、介護機関にITソリューションを提供することにとどまらない。めざすは、スマート高齢者福祉サービスプラットフォームを中核とする介護運営体制を現地政府とともに構築し、高齢者ニーズに、より的確に対応できるプラットフォームを実現し、そのさらなる整備を図っていくことだ。

    成果

    スマート介護を実現しながら介護政策をサポート

    「インターネット+地域在宅介護サービスプラットフォーム」実証施設となっている水洞埭地域在宅介護センターでは、現在1日に延べ100人の高齢者が、ここで行われるさまざまな活動に参加している。高齢者は介護センターに設置されたタッチパネル情報端末を使って交流室を予約し、手芸、書道、中国将棋、リハビリ、食事など、多様な活動やサービスを楽しんでいる。また、これらのサービスは地域の制約を越え、周辺地域に住む高齢者も受け入れている。平湖市でこれまでに「インターネット+地域在宅介護サービスプラットフォーム」を導入した介護センターは計30施設(2018年8月時点)にのぼり、2020年には高齢者5万人以上を対象にサービスを提供する見通しだ。

    さらに、2017年に竣工した「金平湖スマート健康介護センター」では、管理室が24時間体制でサービスを提供し、高齢者への日常的なサービスや緊急対応を行っている。このように「スマート高齢者福祉サービスプラットフォーム」は、現地政府に代わり、次のサービスを提供する。

    1. 介護センターの運営状況を監視する
    2. 介護施設の日常的な運営状況を監視する
    3. 高齢者の能力・ニーズを適切に見定め、それに合ったサービスを提供する。また、介護担当者の訪問サービスの時間・質を監視する
    4. 一人暮らしの高齢者や、子どもが遠隔地で暮らす高齢者などの安全を24時間体制で見守る

    ニーズに合ったサービスを提供する「スマート高齢者福祉サービスプラットフォーム」

    展望

    高齢化社会の到来を迎え、「健康中国2030」に貢献するために

    中国社会の高齢化加速に伴い、これと関連する介護産業の成長が期待されている。現在、平湖市ではこれまでに整備された村・地域介護センター114施設を拠点として介護サービスが提供されている。一方、同市では、浙江省の民間介護事業所に関する規定に基づき、地域レベルの実証在宅介護センターも整備し、レスパイトケア(介護を行う家族へのサポート)としてデイサービスやショートステイのニーズにも対応している。また、施設内に設置された看護室や周辺病院との提携による医療・介護連携も実現しており、質の高いサービスを提供しつつ、在宅サービスの利便性も担保している。

    日立は、「IoT時代のイノベーションパートナー」として、IT技術とビッグデータプラットフォームを最大限に活用し、高齢者のより質の高い生活を創造し、「健康中国2030」に継続的に貢献していく。

    公開日: 2019年3月
    ソリューション担当: 日立ソリューションズ(中国)