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日立が進める「ジョブ型」とは? わかりやすく解説

職務の範囲を明確化し、その仕事に人を割り当て、仕事の内容や遂行状況に応じて待遇などを決める「ジョブ型」人財マネジメント。日立製作所では、その基盤となる「ジョブディスクリプション(JD、職務記述書)」を2022年7月から、対象を管理職だけでなく一般社員にも広げて導入を進めています。そもそもジョブ型とは、どのような仕組みなのでしょうか。この記事では、日立の取り組みとともに紹介します。

「ジョブ型」人財マネジメントとは?

インタビューに応じる人事勤労本部・岩田幸大さん(写真:齋藤大輔)

グローバル展開やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進などを踏まえ、ジョブ型人財マネジメントの導入を進めている日立。ジョブ型人財マネジメント推進プロジェクト企画グループ長の岩田幸大さんは、ジョブ型についてこう説明します。

「ジョブ型とは、仕事の内容を明確にして、その仕事に最も適した人を配置・登用する仕組みであり、賃金や人財育成のベースとなる考え方のことです。我々は、ジョブ、すなわち仕事が先にあるという点で、『適財適所』ではなく『適所適財』と言っています」

メンバーシップ型とジョブ型の違い

「ジョブ型」と対照的に、従来日本で主流とされてきたのが「メンバーシップ型」です。

一般的にメンバーシップ型とは、会社と従業員の結びつきに重きが置かれた仕組みとされます。一方、ジョブ型は、グローバルでは標準的なマネジメントの仕組みで、仕事と従業員の結びつきが強く、より専門性の高い人財の獲得や育成に向いているとされます。

働き手から見ると、異動や転勤などのジョブローテーションにより様々な職務を任されるメンバーシップ型に対して、より主体的なキャリア形成を実現できるのがジョブ型といえます。

「ジョブ型」が求められている理由

日立のジョブ型について説明する岩田さん(写真:齋藤大輔)

では、なぜ今、こうした「ジョブ型」の導入が求められているのでしょうか。

岩田さんは、その背景について、「グローバルな事業環境の変化」「日本の社会課題」「社員の価値観やライフスタイルなどの多様化」といった3つの外的要因を挙げています。それぞれの要因についてより詳しく説明します。

1つ目の「グローバルな事業環境の変化」については、DXの進展などにより、国をまたいだ多国間でのビジネスが活発化しており、グローバル企業では各国共通でマネジメントの仕組みを整える必要があります。

また、IT・デジタル領域を筆頭に、国内外問わず高度な専門性を持つ人財の獲得競争が激化しており、そのような専門性のある人財を獲得する施策として、ジョブ型が注目されています。

2つ目の要因である「日本の社会課題」に目を向けると、少子高齢化の進展や社会保障の持続可能性の低下といった問題があり、それが3つ目の要因である「社員の価値観やライフスタイルなどの多様化」につながっています。

こうした環境の変化に対応しながら、持続的に成長を遂げるには、多様な人財の多様な働き方を支援し、「適所適財」を実現することが不可欠であり、ジョブ型の導入が必要になると、岩田さんは話します。

「日立がグローバル市場で勝ち抜くには、多様な人財の力が必要です。多様な人財の多様な働き方と整合する仕組みを整え、時間や場所の制約を超えてOne Teamで業務を遂行するためにも、メンバーシップ型からジョブ型へと転換を図る必要があるのです」(岩田さん)

ジョブ型導入に向けた日立の取り組み

ジョブディスクリプション(JD、職務記述書)の例

こうした中、日立製作所は2021年に管理職を対象としてジョブ型人財マネジメントの基盤となるJDを導入。翌22年7月より、一般社員にも対象を広げています。具体的には、すべての職種や階層ごとに求められる仕事内容や責任などを定義した約450種類のJDを作成。このJDをベースとしながら、2022年秋を目途に、個々のポジションごとに必要なスキルや経験を「見える化」する計画です。

また、語学学習コンテンツなど、AIを活用して従業員のスキルアップや学び直しを促す「学習体験プラットフォーム(LXP:Learning Experience Platform)」の運用を2022年10月から始めたほか、社内公募の拡充などを図り、従業員のより能動的なキャリア開発を促すための取り組みを推進しています。

マネージャー(左)と社員(右)がジョブ型の目的などを確認する様子(写真:齋藤大輔)

この一連の施策について、岩田さんはこう話します。

「求められる職務の見える化や上長とのキャリアに関する継続的な対話を通じて、従業員に自律的なキャリア開発を促すのが狙いです。ジョブ型人財マネジメントを実現するには、制度面の整備だけでなく従業員の意識変革や行動変容が不可欠です。そのために現在、様々な角度から従業員に対する働きかけを行っているところです」

処遇制度については、すでに管理職は2014年に移行を完了していますが、今後は一般社員についてもジョブ型を踏まえた処遇制度の構築を進めていきます。

新卒採用やインターンシップでも

学生(左)が調達部門の『ジョブ型インターンシップ』に参加する様子

さらに、日立では、新卒採用についても職種別のジョブ型採用を進めています。2020年度からAIやデジタル領域など一部の職種を対象に、学歴ごとに一律の初任給額ではなく、対象者の専門性や経験、職務の内容などを考慮した個別の処遇設定を開始。2022年度は技術系を500名、事務系を30名、それぞれジョブ型で採用する予定です。

また、新卒のジョブ型採用を強化する取り組みとして、職場で体験する業務や必要なスキルを明示して学生などを受け入れる「ジョブ型インターンシップ」も2021年度から本格的に進めています。

「事務系職種の一部を除き、新卒についてもジョブ型に切り替わっており、新入社員もほぼ職種が決まった形で入社してきます。『新入社員』として一律に扱うのではなく、それぞれのキャリア志向や専門性を考慮しながら一人ひとりに応じたマネジメントに取り組んでいます」(岩田さん)

日立製作所のモデルをベースに、国内のグループ会社でも順次、ジョブ型人財マネジメントの導入を進めていく方針です。