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「自動車から鉄道へのシフトが起きる」 日立とアルストム、英国高速鉄道車両を受注
日立レール社とフランスのアルストム社は2021年12月9日、日立とアルストムが共同出資する「日立アルストムハイスピード共同事業体」が、英国のハイスピード2社から高速鉄道車両の設計、製造、保守を受注したことを発表しました。
受注したのは54編成の新型車両で、最高時速360キロメートルで走行します。契約金額は19億7,000万ポンド(約2,957億円)で、保守契約は12年間。ハイスピード2社によると、2029~2033年の間に運行が開始される予定ということです。
日立製作所の鉄道ビジネスユニットのアンドリュー・バーCEOは、10日に開かれた記者会見で、「この高速鉄道によって、多くの人が移動手段を自動車から鉄道にシフトすると見ています。これはサステナビリティ(持続可能性)の観点からも非常に重要です。このプロジェクトを通じて、日立が英国のCO2削減目標の達成に貢献できると考えています」と、意気込みを述べました。
欧州最速、最新技術を備えた新型車両
日立アルストムハイスピード共同事業体が受注したのは、54編成の新型車両で、1編成当たり8両、全長200メートル。最高時速は360キロメートルと欧州で最も速く、乗客の移動時間を大幅に短縮することができます。
また、同車両は100%電気で駆動し、軽量かつエアロダイナミクス(空気力学)を応用した設計、最新の駆動技術、さらに最先端の回生ブレーキシステムを採用しており、世界最高レベルのエネルギー効率を持ちます。
まずは、首都・ロンドンとバーミンガムを結び、在来線にも乗り入れます。その後、マンチェスターやリバプール、グラズゴーなどの都市ともつながる予定で、都市間の輸送能力と接続性を大きく向上することが可能になるということです。
選ばれた理由は「技術力」
アンドリュー・バーCEOは、日立が選ばれた理由について、「技術力だと思います。高速鉄道車両の製造技術もそうですし、日本の新幹線や、イタリアのETR1000の実績も評価されたと考えています」と話しました。
また、新型車両は100%電気で駆動するため、同じ区間を移動する自動車や飛行機に比べて温室効果ガス排出が少ない交通手段となり、脱炭素社会の実現においても重要だと、強調します。
「日立は、高速鉄道が将来有望だと考えており、これからも飛行機や自動車から鉄道へのシフトに注力していきます。また、鉄道はグリーンな輸送手段として極めて重要です。鉄道利用をグローバルに促進していくことで、CO2削減に貢献していきます」(バーCEO)
今回の受注は、車両製造や保守などで、数千人規模の雇用が創出されるほか、最新の溶接、台車製造設備に大規模の設備投資も予定されており、英国の経済活性化にも貢献するものと期待が高まっています。