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DXを成功に導く4つのステップとは? 日立の米IT子会社トップが解説
2021年に日立が買収した米国のデジタルエンジニアリングサービス大手GlobalLogic(グローバルロジック)。日立が成長戦略の柱に据える「Lumada(日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューションなどの総称)」を推進するうえで、重要な役割を担っています。
同社が得意とするのは、デザイン主導のデジタルエンジニアリングの技術を活用し、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進すること。この度、日本での事業を拡大するために、2022年4月にGlobalLogic Japanを設立しました。
GlobalLogicのニテッシュ・バンガ社長兼CEOは同年10月、日立グループが主催する最大規模のイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2022 JAPAN」に登壇し、企業のDXを成功させる秘訣について語りました。
あらゆるプロダクトをソフトウェアに
ポストコロナ時代がどうなるか、先行きが見通せない中、サプライチェーンや消費者動向などに変化の波が押し寄せているほか、デジタル人財の不足やサイバー攻撃による脅威、気候変動などのリスクが顕在化しています。
こうした状況を踏まえ、バンガ社長は「不確実な時代だからこそ、デジタルを活用してビジネスを変革すべきだ」と説きます。
そのうえで、DXを推進するには以下の「4つのポイント」がカギを握ると指摘します。
- (1)ソフトウェア・ディファインド
- (2)クラウドとデータの活用
- (3)デザインによるイノベーション
- (4)新しい収益モデル
1番目の「ソフトウェア・ディファインド」とは、サーバーやクラウドなどに加え、車などを含めたあらゆる製品をソフトウェアで操作すること。ソフトウェアはいまや製品をサポートする存在に留まらず、製品そのものになりつつあるといわれています。バンガ社長は、「その傾向はコロナ禍でさらに加速し、ソフトウェアで操作された製品が我々の生活を取り囲んでいます」としています。
ソフトウェア・ディファインドを進めることは、製品を提供する企業にとって、メリットになります。ハードウェアからソフトウェアへ主軸を移すことで、製品のリリースサイクルを短縮でき、メンテナンスが容易になるからです。さらに、新たな機能をネットワーク越しに提供でき、機器そのもののスペックを変えなくても、スピード感を持って新しい製品を次々と展開できるようになることも大きなメリットです。
2番目のポイントは「クラウドとデータの活用」です。DXを実現するには、エッジやクラウド、データセンターなどに分散して存在する膨大なデータを活用することが重要です。そのため、クラウド利用を前提としたソフトウェアにすることがカギとなってきます。
バンガ社長は、「構造化されていないデータや刻々と変化するデータから、いかに役に立つ知恵を引き出せるかも検討する必要があります」と話します。
デザインによるイノベーション
3番目は「デザインによるイノベーション」。これもDXを進めるうえで欠かせません。バンガ社長は、「顧客の声を受けて、最適なデザインを提供できるかが重要」としたうえで、次のように話しました。
「デザインは単なる見た目だけの問題ではなく、製品、経験、ビジネスという3つの要素を考慮する必要があります。そして、『誰がどう使うのか』の視点が必要で、『デザインのためのデザイン』であってはいけません」
そして、4番目のポイントは、「新しい収益モデル」を作ることです。製品を単に売るだけではなく、新しい形でビジネスを展開する。それこそがDXの終着点だとバンガ社長は指摘します。
例えば、PaaS(プロダクト・アズ・ア・サービス、製品のサービス化)のビジネス展開では、自社の変圧器だけを売るのではなく、エネルギー供給全体を包括するようなサービスとして展開するなど、他企業と提携して新たな収益モデルを開発することが可能です。
バンガ社長は、これら4つのポイントがDXを成功させるためのカギだとしたうえで、「デジタル変革の時代がやってきたと信じています」と訴えました。
講演の終盤には、こうしたDXを推進する力になる存在としGlobalLogicに触れたバンガ社長。「ファストフード店の注文端末や動画ストリーミングサービスなどを通して、実は気付かないうちに弊社の技術に接しています」と紹介したうえで、次のように講演を締めくくりました。
「GlobalLogicは、ICチップからクラウドアプリケーションまで幅広い技術を活用し、デザインとエンジニアリング、データサイエンスを組み合わせたデジタルの未来を提案します。DXは素晴らしいキャンバスなので、ぜひ皆さんとともに、素晴らしいものを描きたいです」