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「脱炭素化をリードする」 デッラジョヴァンナ執行役常務が語る日立のグリーン戦略

ロレーナ・デッラジョヴァンナ執行役常務 兼 Chief Sustainability Officer(写真:野崎航正)

日立製作所は、2022年4月に「2024中期経営計画」を発表。今後の方針の一つとして、持続可能な社会の実現に向けた「グリーン戦略」を示しました。これは単に環境に配慮した取り組みを推し進めるということではなく、成長戦略の中核の一つとして位置付けるものです。その内容について、同戦略をリードするChief Sustainability Officerのロレーナ・デッラジョヴァンナ執行役常務に聞きました。

日立の製品や技術で脱炭素を実現

――日立は「2024中期経営計画」でグリーン戦略に力を注いでいます。その背景とあなたの役割を教えてください。

ロレーナ・デッラジョヴァンナ(以下、デッラジョヴァンナ):世界のマクロな動きを見ると、多くの国や地域で「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」に向けた目標が掲げられ、そのための投資が行われるなど、「プラネタリーバウンダリー(地球の限界)」を守る重要性が世界的に認識され始めています。日立は創業以来、顧客や社会が抱える課題の解決に取り組んできましたが、環境問題はいま世界が直面する最重要課題といえます。

私が担う新たな役割は、日立における環境目標の達成を加速させることです。2024年度までに、日立の製品を通じて、私たちの顧客のCO2排出量を年間1億トン削減させることをめざしています。

また、日立の社内生産活動においては、2030年度までにスコープ1とスコープ2でカーボンニュートラルを達成し、バリューチェーン全体でも2010年比で50パーセントのCO2排出削減をめざします。さらに長期的には、2050年度までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現させることが目標です。*

(注釈)
*スコープ1は事業者自らによる温室効果ガスの排出、スコープ2は他社から提供された電気や熱、蒸気などの使用による排出、スコープ3はスコープ1・2以外の間接排出で、事業者の活動に関連する他社による排出を含む。この3つの合計がバリューチェーン全体の排出量となる。

インタビューに応じるデッラジョヴァンナChief Sustainability Officer(写真:野崎航正)

――どのようにその目標を達成していくのでしょうか?

デッラジョヴァンナ: 日立のグリーン戦略は、モビリティ、エネルギー、コネクティブインダストリーズ、デジタルといった全ての事業部門に組み込まれており、持続可能な社会への移行に貢献するさまざまな技術開発に取り組んでいます。戦略の柱となるのは「GX(グリーン・トランスフォーメーション) for CORE」と「GX for GROWTH」という2つの取り組みです。

「GX for CORE」は、日立の事業活動によって排出されるCO2を実質ゼロにする取り組みです。省エネや再エネに関連するプロジェクトに対して積極的に投資を行います。また、バリューチェーンマネジメントや製品の再設計、顧客エンゲージメントを通じてCO2の排出削減を加速させます。

一方「GX for GROWTH」は、日立の製品やサービスを通して顧客のCO2排出削減に貢献する取り組みです。例えば、当社のバッテリー技術や電気自動車(EV)技術を通じてエンドツーエンドのソリューションを提供していきます。また、水素エネルギーの貯蔵や天然ガスに代わるメタンガスの合成など、新たなグリーンテクノロジーへの投資も行っていきます。

――「GX for CORE」と「GX for GROWTH」で特に注力している事業は何でしょうか?

デッラジョヴァンナ: 「GX for CORE」では、カーボンニュートラルを達成するために、自社の各拠点の特性をふまえた施策を推進しています。例えば、電力を大量消費するデータセンターや複数の工場が集中して立地する地区では、効率的なエネルギー管理が必要です。こうした拠点では再生可能エネルギーを導入したり、必要に応じて施設や設備などの共同利用を促したりしています。

「GX for GROWTH」では、各事業部門が連携しながら多様なシステムや技術を提供していきます。具体的には、HVDC(高圧直流送電)に代表される送電システム、蓄電池駆動トラムなどの新しい公共交通システム、電気自動車の普及を加速させるEVモーターやEVインバーターの技術、工場での作業を省エネ化するソリューション、エネルギー消費を見える化するデジタル技術などです。

「脱炭素化の道のりをリードする」

ダボス会議で講演するデッラジョヴァンナChief Sustainability Officer(2022年5月撮影)

――グリーン戦略の推進は今、世界中の企業や政府にとって最重要課題となっています。この国際的な環境保全の取り組みにおいて、日立が果たすべき役割は何だとお考えでしょうか?

デッラジョヴァンナ: 日立は地球の住民として、自社のCO2排出削減の責任を真剣に受け止めており、カーボンニュートラルの実現に向け意欲的な目標を掲げてきました。 「Climate Change Innovator(気候変動問題を解決に導くリーダー)」となり、脱炭素化の道のりをさらにリードしていかねばなりません。

この目標を達成するために、私たちは顧客や社会が抱える課題を深く理解することに尽力します。110年を超える歴史を持つ日立は、IT(情報技術)、OT(制御技術)、プロダクトに関する専門性を持つ比類なきテクノロジー企業です。当社のグリーン技術とデジタル技術を駆使してイノベーションを起こし、顧客やパートナー企業、国際社会とともにソリューションを創出し、脱炭素社会の実現に貢献します。

カーボンニュートラル実現の鍵は団結

脱炭素化に向け意気込みを語るデッラジョヴァンナChief Sustainability Officer(写真:野崎航正)

――日立での仕事とは別に、プライベートで環境に配慮していることはありますか?

デッラジョヴァンナ: 自然がとても好きなので、これ以上環境を傷つけないよう気をつけています。日本の人々は、ごくあたりまえに自然を敬い、ゴミの扱い方など環境を守るための教養がしっかり身についています。2020年にイタリアから日本に移って以来、環境についてより深く学んでいます。

また、私は長年セーリングを楽しんできましたが、船の上では節水が欠かせません。万が一、水を使い切ってしまったら、料理や歯みがきはおろか、何もできなくなるからです。これは私が天然資源を大切にする方法を学んだ一例です。自分の経験を生かし、実際の行動で周りの人々に良い影響を与えられたらと思っています。

――最後に、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた意気込みをお聞かせください。

デッラジョヴァンナ: 気候変動は世界が一丸となって取り組まねばならない課題です。私たちはこれまで以上に団結し、日立グループ内では「One Hitachi」を常に意識して業務にあたる必要があります。社員一人ひとりのコミットメントこそが、この野心的な取り組みを支える強固な基盤となるのです。

さらに、パートナーシップも欠かせません。社員だけでなく、顧客、サプライヤー企業、学会、政策立案者といった社外のステークホルダーと連携することで初めて、脱炭素社会の実現が可能になるのです。ですから、ともに力を合わせましょう。話してばかりいないで、行動を起こしましょう。カーボンニュートラルの達成に向けて、すべての社員、すべてのパートナーの皆さんと、手を携えて取り組みたいと考えています。