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日立、東京ドームで感染対策の技術実証 球場内の混雑状況を「可視化」

【動画】動いている人は青、止まっている人は黄色のアイコンで表示される

日立製作所は11月7日、8日の両日、東京ドームで開かれたプロ野球の公式戦において、新型コロナウイルスの感染対策として、来場者のプライバシーに配慮した形で球場内の混雑状況を把握するための技術実証に参画しました。

実証では、球場内の混雑状況を把握するため、既設の場内カメラでコンコースの様子を撮影。映像には、日立の技術「人流可視化ソリューション」により、来場者の姿が人型のアイコンに置き換えられて表示され、個人が特定されることなく映像データが蓄積されました。

また、「止まっている人」と「動いている人」を自動で認識し、色別のアイコンで表示されるため、滞留している場所を直観的に把握できるのも特徴です。実証で取得した映像データは、球場内の混雑緩和や誘導策の検討、今後のスポーツイベントなどにおける感染対策に活用されます。

実証に参加した社会システム事業部の渕上愛さんは、「この技術がスポーツイベントで活用されるのは初めてです。プライバシーに配慮した形で、現場の状況を視覚的に把握できるため、新型コロナウイルスの感染症対策として活用されることを期待しています」と話しました。

プライバシーに配慮しながら人の流れを可視化

7日の東京ドームには2万6,649人が訪れた

人流可視化ソリューションは、日立独自の技術である「人流計測技術」と「画像処理技術」を組み合わせたもの。カメラで撮影された映像から、人数や位置、移動速度や移動方向を検知し、人型のアイコンを表示することで、プライバシーに配慮しながら、混雑状況をリアルタイムに把握することができます。これまで、駅構内の混雑状況を利用者のスマートフォンなどに配信するサービスなどに導入されてきました。

今回の実証では、東京ドームの球場内にある102カ所のカメラのうち、10数カ所のカメラの映像を対象に、映像データを蓄積します。映像に映し出された人型のアイコンは、「止まっている人」は黄色、「動いている人」は青で表示。これにより、場内の滞留状況や人の流れを直観的に把握することができます。蓄積された映像データを分析することで、滞留者が多い場所の誘導員を増員するなど、混雑を緩和するための施策などに生かされます。

将来的には商業施設やイベント会場にも活用

「人流可視化ソリューション」について説明する渕上愛さん

今回の実証は、内閣官房が主催する新型コロナウイルス感染症対策分科会の承諾を得て、東京都の協力のもとで実施されたもの。分析の結果は、政府や東京都などに共有され、大型スポーツイベントなどでの感染対策に活用されるということです。

さらに、社会システム事業部の渕上愛さんは、スポーツイベントのほか、商業施設やイベント会場での感染対策にも役立てていきたいと話します。

「本ソリューションは、カメラが設置されていれば導入が可能です。そのため、スポーツイベント以外でも、商業施設や各種イベント会場など混雑が見込まれるあらゆる場所で活用できます。この技術を使って混雑を可視化することで、コロナ禍においても安心、安全なイベントや施設の運営ができるようにサポートしていきたいです」