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自動車部品メーカー4社が統合し「日立Astemo」が発足 強力なグローバルサプライヤーをめざす
「3つの大きな野心を抱いています。日立Astemoが地球に貢献するということ、グローバルなリーダーシップを拡大していくということ、そして価値を創造していくということです」
日立Astemoのブリス・コッホ代表取締役プレジデント&CEO(以下、コッホCEO)は1月18日、事業戦略に関するオンライン説明会で、力を込めてこう切り出しました。
同社は2021年1月1日、自動車部品メーカーの日立オートモティブシステムズとケーヒン、ショーワ、日信工業の4社が経営統合して誕生しました。世界の自動車・二輪車業界にモビリティソリューションをグローバルに供給する企業です。連結会社が123社、世界27カ国にあり、従業員は約9万人にものぼります。
「2030年までに工場をカーボンニュートラルに」
近年、自動車・二輪車業界では、環境への負荷を低減し、交通事故を減らし、さらなる安全性と快適性を向上することが求められています。4社が統合してそれぞれの強みを補い高めることで、「社会的にも、環境的にも、経済的にも貢献できる」とコッホCEOは強調します。新型コロナウイルスの影響については、むしろ改革を促進する“オポチュニティ(機会)”だと考えています。
「政府やマーケットがいま注力しているのがCO2を減らすことです。排出ゼロをめざさなければいけません。さらに、CASE技術(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング、E=電動化)も各国で求められている。現在、世界は新型コロナの影響を受けています。しかしそれは効率を高め、さまざまなイノベーションを生む機会でもあるのです」
同社では2030年までに工場でのカーボンニュートラルを達成することや、製品の使用によって発生するCO2の排出量を50%削減することを目標としています。
コッホCEOはまた、CASE時代への対応として、車両関連の技術開発だけでなく、日立製作所が進めるLumada(ルマーダ)とのコラボレーションが欠かせないと指摘しました。Lumadaとは、デジタル技術によって顧客のデータを活用し、新たなビジネスを開発するソリューションです。コッホCEOはその活用について次のように説明しました。
「昨年、Lumadaが活用された事例として、日産の新型スカイラインに採用された高精度地図ユニットの例があります。オンラインで同時刻に交通状況を把握し、渋滞を避けて進むことができ、地図は自動で更新されます。Lumadaは製品やサービスを極めて知的なものにするのです」
4社のノウハウを組み合わせて、強力なグローバルサプライヤーへ
経営統合した4社は業界内で実績のある基盤企業です。「強力な創業メンバーのもと、それぞれのノウハウを持ち寄ることで、スケール拡大はもとより、マーケットでのリーダーシップを強化できると考えています。世界中の自動車・二輪メーカーにとってベストパートナーとなるでしょう」。
日立オートモティブシステムズは以前から、パワートレイン(エンジン、シャフトなどの駆動装置)、シャシー、先進運転支援(ドライバーの運転支援システム)の3つのシステムをグローバルに展開してきました。そこに、ケーヒンのパワートレイン、ショーワのサスペンションとステアリング、日信工業のブレーキシステムを組み合わせることで、より効率的で強力な世界規模のサプライヤーへと成長することをめざします。
「世界中に141拠点を持っていることで、顧客に近い距離でローカルに提供でき、パートナーシップを強化することができます。アジアにおいては二輪の成長が期待でき、中国では電気自動車やOEMを拡大していく計画です」
コッホCEOは電気自動車に搭載するモーターやインバーターなどxEV分野について、「すでに1,000億円投資済みで、5年間にわたって総額3,000億円を投資する予定です」と述べ、「自動運転や先進運転支援システムが安全な運転を可能にします。こうした成長の期待できる分野については優先投資したい」と話しました。
冒頭に掲げた3つの野心を達成しつつ、売上は2021年度に1.6兆円、25年度には約2兆円、そして企業の収益性をはかる指標のEBITDAでは、2021年度に10%超、25年度には15%をめざすとしています。