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リモートでサイバー防衛訓練が可能に 日立、「オンラインNxSeTA」の提供開始
世界的に高まっているサイバー攻撃の脅威。5月10日には、米国の石油パイプライン企業がサイバー攻撃を受けて、一時的に操業を停止する事態に追い込まれました。これにより、周辺の地域ではガソリン不足などの影響が出ました。
IoT技術の普及によって、エネルギーや鉄道などの重要インフラにおいてもデジタル化が急速に進んでいますが、そうした重要インフラがサイバー攻撃を受けると、人々の生活に大きな支障が生じるのです。こうした状況を鑑みて、政府は国を挙げたサイバー防衛強化の方針を打ち出しています。
こうした中、日立製作所は6月1日、重要インフラへのサイバー攻撃を想定した訓練をオンラインで行えるサービス「オンラインNxSeTA」の提供を開始しました。サービスプラットフォーム事業本部の石場光朗さんは、「実践的な訓練を通じた組織的なインシデント対応能力とセキュリティ人材育成の強化が必要です」と話しています。
日立は2017年、茨城県日立市の大みか事業所に、重要インフラ事業者向けサイバー防衛訓練施設NxSeTAを開設。今回発表された「オンラインNxSeTA」は、同施設で受けられる訓練をオンライン化したものです。新型コロナウイルスの影響で重要インフラ事業者においてもリモートワークが増加する中、リモート環境でのインシデント対応能力を強化してほしいという狙いがあります。
「オンラインNxSeTA」では、実際の重要インフラの環境を再現した模擬システムが使われているため、実践的な訓練を受けることができます。受講者は、業務で使用しているツールで関係各所とコミュニケーションをとりながら、サイバー攻撃の検知、ログ解析、復旧までの一連の訓練が受けられます。さらに、訓練の結果は、評価レポートとして受講者にフィードバックされ、問題点や弱点が見つかった場合は、次回以降の訓練で継続的に強化することができます。
石場さんは、「サイバー攻撃を完全に防ぎきることはできないため、攻撃を受けた場合でも事業への影響を最小化することが重要です」とした上で、「増大するサイバー攻撃の脅威に対抗するため、日立製作所はコンサルティングや監視サービスなど、トータルソリューションで支援します。さらに、セキュリティ対策の底上げ、レジリエンス強化に向け、国内のサイバー防衛トレーニングの普及に貢献します」と話しています。