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「Lumadaで破壊的なイノベーションを起こす」 小島新社長が語る新しい日立像(後編)

2021年7月14日 小野寺 彩乃
新たに社長に就任した小島啓二社長

日立製作所の社長兼COOに就任し、2021年6月24日と25日にメディアによる共同取材に応じた小島啓二社長。1982年の入社以来、研究者として日立のさまざまな研究開発に携わってきました。後編では、日立の主力事業である「Lumada」の未来像や、研究開発(R&D)を強化する理由など、今後の経営戦略について伝えます。

小島社長が描くLumadaの未来像とは

ーーLumadaの10年後、20年後はどのような姿になっているでしょうか?

小島社長(以下、小島):私は大きく2フェーズで考えています。フェーズ1では、われわれの強力なIT部隊がLumadaでお客様のデータを活用して、業務を革新し、成長させます。私が見る限り、フェーズ1は国内ではかなり順調に推移しています。

次のフェーズ2では、やるべきことが2つあります。フェーズ1で行ってきた業務の革新を海外で行うことと、ハードウエアなどの製品事業に大きな革新を起こすことです。これからの10年、20年で、Lumadaをフルに使ってディスラプティブ(破壊的)なイノベーションを起こしていく。それが私の思い描く姿です。

例えば、携帯型オーディオプレーヤーやカセットデッキといった製品がデジタル化され、ネットワークサービスとつなげて携帯型デジタルオーディオプレーヤーが生まれるという革新が起きました。それと全く同じパターンで、今度は携帯電話からスマートフォンが誕生して大成功しました。このように、市場から“レガシー”と思われている製品を、デジタルというテクノロジーで大きく革新していく。そうしたことを、日立の製品で次々と起こしていきたいと思います。

ーー今後、グローバルで伸ばしていきたい地域は?

小島:チャンスがあると思っているのは、北米のインダストリー分野です。製造業を含めて、北米の産業が再び伸びてくると思っています。また、インフラも古いものが多いので、更新需要がかなり出てくる。さらに、バイデン政権が製造業の強化に向けて、非常に大きな支援策を打ち出しています。このため、次期中期経営計画の重要な市場の一つは、北米になると思っています。

北米では、従来の製造業の製品にLumadaや(2021年7月に買収が完了する)GlobalLogic社のサービスを使って革新を起こす大きなチャンスがあります。また、2019年に買収したJR オートメーション社も、北米でロボットシステムインテグレーション事業を手掛けていて、今後うまくシナジー(相乗効果)を作っていけると思います。

こうしたことを実現するには、北米に十分なデジタルリソースを供給する必要があります。そこで重要になるのが、インドです。今までは中国が世界の生産工場という位置付けでしたが、これからはインドが世界のデジタルリソースの供給源になっていきます。インドでしっかりとリソースを確保して、これからの成長を支えていきます。

小島社長は今後の重要な市場として北米を挙げた

Lumadaの成長に不可欠なGlobalLogic社

ーーGlobalLogic社をどう活用していくかについて教えてください。

小島:フェーズ2に移行しようと思ったときに、われわれには足りないものがありました。それは、製品を革新するIT部隊です。システムインテグレーションを行い、業務を革新する部隊はありますが、製品事業はITリソースを多くは持っていないので、革新があまり進みません。製品事業でLumadaの伸びが足りないのは、そこに原因があると思っています。

GlobalLogic社は、製品を手掛ける企業に「あなたの製品を、デジタルとテクノロジーを使って、大きくイノベーションするチャンスがありますよ」と持ち掛けていく会社です。製品についてデザイン思考で考えるスペシャリストたちが、「あなたの製品をまっさらな目で見ると、こんなにすごいことができますよ」と提案する。そして、お客様と議論を重ねた上で、システム開発も担う。それが、GlobalLogic社です。

彼らの本質は、デジタル、あるいはクラウドのようなテクノロジーで、ディスラプティブなイノベーションを製品に起こすこと。そのニーズは今、非常に大きいです。業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)という話はありますが、彼らがやろうとしているのは製品のDX。それは日立にとって、Lumadaをさらに伸ばしていくために重要なスキルとリソースになります。

日立が持っているさまざまな製品にイノベーションを起こして、大きな価値を提供する。鉄道車両でそれが起こり、医療機器で起こり、あちこちで起こるというのが、10年、20年後のイメージです。

2050年から“バックキャスト”で考える理由

R&D強化の意図を説明する小島社長

ーー2050年からバックキャスト(未来の状況を予想し、そこから立ち戻って現在取り組むべき施策を考える発想法)で考えると話されていましたが、2050年までに何をめざして、そのために今後5~6年は何をすべきだとお考えですか?

小島:日立は、テクノロジーを活用して社会課題を解決することで世の中に貢献し、事業を大きくしていくという考え方を持っています。そこで、2050年にはどんな社会課題が解決されているかを考えて、例えば、「2050年にがんは完全に撲滅されている」と設定したら、それに従って、いつまでにこうした診断ができなければいけない、こういう治療法ができているはずだと、落とし込んでいき、では今、血液分析装置をどういうふうに進化させるべきか、と考えます。

つまり、2050年からさかのぼって、どの時点でどうなるべきかという筋道をしっかり作って、研究開発やM&A(合併・買収)を計画していく。それが、われわれが申し上げる“2050年からのバックキャスト”です。

ーーR&D(研究開発)について、3年累計で1兆5,000億円を投資することを発表しましたが、その背景は?

小島:私の次のミッションは成長です。成長する上で重要なのは、まずはコスト競争力。コストを下げて営業利益率を上げていかないと、成長できません。もう1つは、資産の回転率を上げること。従来の業務をこなすだけだと、今までやってきた事業や製品は、必ず少しずつ縮小します。それを成長モードにするには、(縮小傾向なのを)弾き返して大きくしないといけません。

成長モードに切り替えるための方法の一つは、製品を革新してその競争力を上げることです。私がR&Dへの投資を強化する最大のポイントは、今の製品にイノベーションを起こして、成長させるということなんです。

製品に革新を起こすやり方は大きく2つあります。1つはデジタルのテクノロジーで、Lumadaなどをフルに使って製品をデジタル化することです。ここではGlobalLogic社が活躍してくれるでしょう。もう1つは、画期的なハードウエアやプロダクトを開発してイノベーションを起こす方法です。こちらは2050年からバックキャストする手法を使っていくつもりです。

デジタル化を中心に製品を革新させるのと、バックキャストの考え方を用いて大きなイノベーションを起こします。この両方からR&D投資をしていこうと考えています。

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「Lumadaで破壊的なイノベーションを起こす」
小島新社長が語る新しい日立像(後編)


新たに社長に就任した小島啓二社長

日立製作所の社長兼COOに就任し、2021年6月24日と25日にメディアによる共同取材に応じた小島啓二社長。1982年の入社以来、研究者として日立のさまざまな研究開発に携わってきました。後編では、日立の主力事業である「Lumada」の未来像や、研究開発(R&D)を強化する理由など、今後の経営戦略について伝えます。

小島社長が描くLumadaの未来像とは

――Lumadaの10年後、20年後はどのような姿になっているでしょうか?

小島社長(以下、小島):私は大きく2フェーズで考えています。フェーズ1では、われわれの強力なIT部隊がLumadaでお客様のデータを活用して、業務を革新し、成長させます。私が見る限り、フェーズ1は国内ではかなり順調に推移しています。

次のフェーズ2では、やるべきことが2つあります。フェーズ1で行ってきた業務の革新を海外で行うことと、ハードウエアなどの製品事業に大きな革新を起こすことです。これからの10年、20年で、Lumadaをフルに使ってディスラプティブ(破壊的)なイノベーションを起こしていく。それが私の思い描く姿です。

例えば、携帯型オーディオプレーヤーやカセットデッキといった製品がデジタル化され、ネットワークサービスとつなげて携帯型デジタルオーディオプレーヤーが生まれるという革新が起きました。それと全く同じパターンで、今度は携帯電話からスマートフォンが誕生して大成功しました。このように、市場から“レガシー”と思われている製品を、デジタルというテクノロジーで大きく革新していく。そうしたことを、日立の製品で次々と起こしていきたいと思います。

――今後、グローバルで伸ばしていきたい地域は?

小島:チャンスがあると思っているのは、北米のインダストリー分野です。製造業を含めて、北米の産業が再び伸びてくると思っています。また、インフラも古いものが多いので、更新需要がかなり出てくる。さらに、バイデン政権が製造業の強化に向けて、非常に大きな支援策を打ち出しています。このため、次期中期経営計画の重要な市場の一つは、北米になると思っています。

北米では、従来の製造業の製品にLumadaや(2021年7月に買収が完了する)GlobalLogic社のサービスを使って革新を起こす大きなチャンスがあります。また、2019年に買収したJR オートメーション社も、北米でロボットシステムインテグレーション事業を手掛けていて、今後うまくシナジー(相乗効果)を作っていけると思います。

こうしたことを実現するには、北米に十分なデジタルリソースを供給する必要があります。そこで重要になるのが、インドです。今までは中国が世界の生産工場という位置付けでしたが、これからはインドが世界のデジタルリソースの供給源になっていきます。インドでしっかりとリソースを確保して、これからの成長を支えていきます。


小島社長は今後の重要な市場として北米を挙げた

Lumadaの成長に不可欠なGlobalLogic社

――GlobalLogic社をどう活用していくかについて教えてください。

小島:フェーズ2に移行しようと思ったときに、われわれには足りないものがありました。それは、製品を革新するIT部隊です。システムインテグレーションを行い、業務を革新する部隊はありますが、製品事業はITリソースを多くは持っていないので、革新があまり進みません。製品事業でLumadaの伸びが足りないのは、そこに原因があると思っています。

GlobalLogic社は、製品を手掛ける企業に「あなたの製品を、デジタルとテクノロジーを使って、大きくイノベーションするチャンスがありますよ」と持ち掛けていく会社です。製品についてデザイン思考で考えるスペシャリストたちが、「あなたの製品をまっさらな目で見ると、こんなにすごいことができますよ」と提案する。そして、お客様と議論を重ねた上で、システム開発も担う。それが、GlobalLogic社です。

彼らの本質は、デジタル、あるいはクラウドのようなテクノロジーで、ディスラプティブなイノベーションを製品に起こすこと。そのニーズは今、非常に大きいです。業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)という話はありますが、彼らがやろうとしているのは製品のDX。それは日立にとって、Lumadaをさらに伸ばしていくために重要なスキルとリソースになります。

日立が持っているさまざまな製品にイノベーションを起こして、大きな価値を提供する。鉄道車両でそれが起こり、医療機器で起こり、あちこちで起こるというのが、10年、20年後のイメージです。

2050年から“バックキャスト”で考える理由


R&D強化の意図を説明する小島社長

――2050年からバックキャスト(未来の状況を予想し、そこから立ち戻って現在取り組むべき施策を考える発想法)で考えると話されていましたが、2050年までに何をめざして、そのために今後5~6年は何をすべきだとお考えですか?

小島:日立は、テクノロジーを活用して社会課題を解決することで世の中に貢献し、事業を大きくしていくという考え方を持っています。そこで、2050年にはどんな社会課題が解決されているかを考えて、例えば、「2050年にがんは完全に撲滅されている」と設定したら、それに従って、いつまでにこうした診断ができなければいけない、こういう治療法ができているはずだと、落とし込んでいき、では今、血液分析装置をどういうふうに進化させるべきか、と考えます。

つまり、2050年からさかのぼって、どの時点でどうなるべきかという筋道をしっかり作って、研究開発やM&A(合併・買収)を計画していく。それが、われわれが申し上げる“2050年からのバックキャスト”です。

――R&D(研究開発)について、3年累計で1兆5,000億円を投資することを発表しましたが、その背景は?

小島:私の次のミッションは成長です。成長する上で重要なのは、まずはコスト競争力。コストを下げて営業利益率を上げていかないと、成長できません。もう1つは、資産の回転率を上げること。従来の業務をこなすだけだと、今までやってきた事業や製品は、必ず少しずつ縮小します。それを成長モードにするには、(縮小傾向なのを)弾き返して大きくしないといけません。

成長モードに切り替えるための方法の一つは、製品を革新してその競争力を上げることです。私がR&Dへの投資を強化する最大のポイントは、今の製品にイノベーションを起こして、成長させるということなんです。

製品に革新を起こすやり方は大きく2つあります。1つはデジタルのテクノロジーで、Lumadaなどをフルに使って製品をデジタル化することです。ここではGlobalLogic社が活躍してくれるでしょう。もう1つは、画期的なハードウエアやプロダクトを開発してイノベーションを起こす方法です。こちらは2050年からバックキャストする手法を使っていくつもりです。

デジタル化を中心に製品を革新させるのと、バックキャストの考え方を用いて大きなイノベーションを起こします。この両方からR&D投資をしていこうと考えています。

  • 取材・執筆: 小野寺彩乃
  • 公開日: 2021年7月14日