Hitachi

日立、米IT「GlobalLogic」を買収 「Lumadaを進化させてグローバル展開を加速」

日立製作所の東原敏昭執行役社長兼CEO

日立製作所は2021年3月31日、デジタルエンジニアリングサービス大手GlobalLogic社を買収すると発表しました。GlobalLogic社の有利子負債の返済を含む買収総額は、96億ドル(1兆368億円)になるとみられています。日立は今回の買収を通して、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するための先進的なデジタル技術を活用したソリューションやサービスの総称である「Lumada」の事業を拡大させていきたい考えです。

日立製作所の東原敏昭執行役社長兼CEOは、同日行われた記者会見で「本買収はLumadaを進化させてグローバル展開を加速するために行うものです。別の言葉で言えば、『世界のLumada』にするための買収です。GlobalLogic社を取り込むことで、日立のLumada事業がさらに進化し、グローバルなお客さまに対して新たな価値を提供できるものと確信しております」と意気込みを語りました。

GlobalLogic社はアメリカのシリコンバレーに本社を置くIT企業。チップからクラウドに至るまで幅広い製品やサービスに対応するソフトウェアエンジニアリング技術があり、急成長を続けるデジタルエンジニアリングサービス市場の「リーディングカンパニー」です。

ドイツやインドなど世界14カ国に、顧客との「協創」を加速するためのデザインスタジオなどの拠点を持ち、従業員は2万人を超えます。さまざまな企業向けにソフトウエア開発を行っており、通信、金融、自動車、ヘルスケアなどの幅広い分野で400社を超える顧客を抱えています。

日立製作所の德永俊昭執行役副社長

日立は、GlobalLogic社を傘下に置くことで、Lumadaに関連した事業を拡大させる方針です。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの5つのセクターに加え、自動車部品メーカーの日立Astemoと連携し、「社会インフラのDXを加速させる」といいます。日立の德永俊昭執行役副社長は、Lumadaを通して実現すべきことについて次のように述べました。

「日立ならではの『ITxOTxプロダクト』の融合に加え、お客さまとの協創やパートナーとのアライアンスを通じ、Lumadaを活用して社会に価値を提供します。Lumadaによって環境、レジリエンス、安心安全といった価値を社会に提供し、社会課題の解決や人々のQoL(生活の質)の向上を実現してまいります」

今回の買収を通して、GlobalLogic社は、2028年度に調整後EBITDAで10億ドル(約1,080億円)超の達成をめざす考えです。これについて德永副社長は、「(GlobalLogic社は)20%を超える成長をずっと続けてきております。これに加えて日立がこれまで培ってきたLumadaのアセットおよび日立が有する研究開発技術を活用することにより、十分にこの数値は達成可能です」と述べました。