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年間約520トンのCO2削減へ 日立GLS、EVフォークリフトを導入

2023年3月20日 オコナー 海
日立GLSの多賀事業所で導入されたEVフォークリフト

家電や空調事業を展開する日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立GLS)は2023年3月1日、同社の多賀事業所(茨城県日立市)で、バッテリーに貯めた電気を使って動く「EVフォークリフト」を導入したことを発表しました。今後は、栃木事業所(栃木県栃木市)でもEVフォークリフトが導入される予定で、年間約520トンのCO2排出量の削減効果が期待されています。導入の効果や背景について、担当者に話を聞きました。

EVフォークリフト約150台導入へ

EVフォークリフトの導入を進める日立GLSの虻川幸英さん

気候変動が喫緊の課題となる中、脱炭素を実現するため、多くの企業がさまざまな取り組みを進めています。日立では、2030年度までに工場やオフィスのCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標を掲げています。

こうした中、日立GLSが、洗濯機やクリーナーなどの開発・製造拠点である多賀事業所に導入したのが、EVフォークリフトです。日立GLSで材料や部品などの調達を担う調達本部の虻川幸英さんは、「日立の家電を作るためになくてはならないフォークリフトを、クリーンにする必要がありました」と言います。

EVフォークリフトに切り替えることで燃料費のコスト削減にもつながる

「CO2排出量の削減は、日立GLSにとっても重要課題の一つです。既に生産プロセスにおける省エネルギー化などをしていますが、部品などの運搬で毎日稼働するフォークリフトは、CO2を排出するガソリンなどが燃料になっていました。そこで、稼働時にCO2を排出しないEVフォークリフトに着目しました」(虻川さん)

日立GLSは2026年度までに、多賀事業所だけでなく、冷蔵庫などの開発・製造拠点である栃木事業所で稼働するフォークリフトも、EVフォークリフトに順次切り替えていく方針です。両事業所あわせて約150台のEVフォークリフトが導入される予定で、年間約520トンのCO2排出量を削減できる見通しです。

作業員の職場環境改善にも

充電コードを差すだけで充電ができる

EVフォークリフトに期待されているのは、CO2排出量の削減効果だけではありません。虻川さんは、職場環境の改善にも繋がるといいます。

「ガソリンで動くフォークリフトは、排気ガスを放出します。フォークリフトは屋外だけでなく、屋内でもよく使われます。屋内で排気ガスが溜まると、作業員の健康にとってよくありません。しかし、電気で動くEVフォークリフトは排気ガスを出さないので、職場環境の改善にも期待されています」

また、虻川さんによると、日立GLSの作業員からは、「従来のフォークリフトと比べて、乗り心地はよいです。また、ガソリンで動くフォークリフトは作業場から離れた場所で給油する必要があり大変ですが、EVフォークリフトは作業場の近くで簡単に充電できる予定で、作業がはかどりそうです」といった声が出ているといいます。

このほか日立GLSでは、栃木事業所で太陽光発電設備の稼働を開始し、本社で利用する電力を再生可能エネルギー由来に切り替えるなど、さまざまな取り組みを行っています。虻川さんは、今後について次のように話し、環境に配慮した取り組みを進めていく決意を示しました。

「多賀事業所では、海外から部品を輸入する際に、使用済みの梱包用段ボールが月間約150トン発生します。この段ボールを今後、資源循環できる仕組みを考えていきたいです」