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周波数の異なる東日本と西日本の電力融通を可能に 「飛騨変換所」が運用開始

2021年6月8日 大越 裕
日立のHVDC(高圧直流送電)システム

中部電力パワーグリッドは2021年3月、周波数の異なる系統連系を可能にする飛騨信濃周波数変換設備(以下、飛騨変換所)の運用を開始しました。建設されたのは岐阜県高山市で、そこから89キロメートル離れた長野県にある新信濃変電所(東京電力)と結ぶことで、東日本と西日本の間で電力の融通ができるようになります。

この飛騨変換所に導入されたのが、日立製のHVDC(高圧直流送電)システムです。これにより、周波数の異なる電力系統間をつなぐことができるようになり、地震などの大規模災害のときに、電力が不足しているエリアに大容量の電力を供給できるようになります。また、長距離送電にも適しているため、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及につながることが期待されています。

飛騨変換所の特長を動画で見る

きっかけは東日本大震災の「計画停電」

「この飛騨変換所の設置計画がスタートしたのは、10年前(2011年)の東日本大震災がきっかけでした」

こう語るのは、変換所を建設した中部電力パワーグリッドの洞(ほら)浩幸所長です。

「当時、震災によって東日本の太平洋沿岸部にある発電所がかなりのダメージを受け、首都圏の電力が足りなくなりました。西日本の発電所から電気を送ることが検討されたのですが、変換設備の容量に限界があったため、結局東日本では、計画停電や節電をお願いすることになりました。そうした社会的に厳しい状況を招いてしまったことが契機となり、90万キロワットの容量を持つ周波数変換設備を、この場所に建設することになったのです」

中部電力パワーグリッドの洞浩幸所長

HVDC(高圧直流送電)のメリットとは

日本の発電事業は、明治時代にアメリカとドイツから発電機を輸入したことに始まります。そのときの発電機の規格の違いから、現在も西日本では60ヘルツ、東日本では50ヘルツと周波数の異なる電気が使われています。そのため西日本と東日本の間で電力を融通しあえるようにするには、変換装置によって電気を交流から直流に変え、さらに周波数を変化させる必要がありました。

それを可能にするのが、飛騨変換所に採用されたHVDC(高圧直流送電)と呼ばれるシステムです。HVDCとは「High Voltage Direct Current」の頭文字をとった言葉で、送電を高電圧の「直流」で行う方式を指します。「交流」による送電に比べて、送電途中に失われる電力が少なく、長距離でも大量の送電ができるうえ、周波数が異なる系統をつなぐことにも適しているという特長があります。

「交流送電では50キロメートルぐらいがケーブルで送れる限界ですが、直流送電であれば1,000キロメートルを超えてもコストパフォーマンス良く送電することが可能です。また交流送電に比べて、直流送電は安定性が高いことも大きなメリットの一つです」(洞所長)

2021年3月に運用を開始した「飛騨変換所」

豪雪地帯での困難な建設

日立は1970年代から、日本で設置されたほとんどのHVDCプロジェクトに、中心的な立場で携わってきました。これまで蓄積してきた技術と知見は、飛騨変換所にも活用されています。

日立側の現場責任者であり、現場事務所の所長としてプロジェクトの進行を担った梶原悟さんは次のように語ります。

「日立は飛騨変換所のなかでも、とくに重要な設備を納入しています。メインとなるのが、交流の電気を直流に変える『サイリスタバルブ』です。また、何らかの異変が起きたときに電流を遮断するGIS(ガス絶縁開閉装置)という装置や高調波を吸収する交流フィルターなども、当社が開発した製品が採用されています」

雪に覆われた飛騨変換所

飛騨変換所が設置されたのは、標高1,000メートル以上の山岳地帯で、厳冬期には2メートルもの豪雪に覆われる場所です。外気温度は冬にマイナス30℃の厳寒となる一方で、夏には35℃の猛暑に変化します。

「大雪が降り続ける環境で、短期間のうちに設備の建設を完了することが最大の課題でした。そうした厳しい気象条件においても、長期にわたって耐えられるシステムを設計する上で、これまで蓄積してきた日立のノウハウが存分に生かされています」(梶原さん)

プロジェクトを担当した日立製作所の梶原悟さん

再生可能エネルギーの普及に向けて

こうして稼働が始まった飛騨変換所。周波数の異なる電力の融通を可能にするだけでなく、再生可能エネルギーの普及にも期待が高まっています。

国内では、風力発電やメガソーラー発電など、再生可能エネルギーの大規模生産に適した地域と、電力の大量消費地である都市部が、かなり離れた場所にあります。そのため、再生可能エネルギーを消費地に送るためには、長距離の送電網が必要となります。

また、近年広がりを見せる洋上風力発電をさらに拡大させるには、海底ケーブルによる長距離の送電が求められます。そのような再生可能エネルギーの長距離送電に、HVDCが威力を発揮するとみられています。

「大きな電力を需要地まで送電するというニーズがこれからどんどん増えると思います。そういった意味では このHVDCは今後活用が進む技術だと思います」(洞所長)

再生可能エネルギーの普及にも期待が高まる

日立は2015年11月、電力設備の世界的メーカーであるABB社と合弁会社「日立ABB HVDCテクノロジーズ株式会社」を設立し、お互いの強みを生かしながらプロジェクトを進めてきました。2021年現在、変電所における直流変換プロジェクトでは、日本国内、世界ともにシェアナンバー1となっています。

このたび「飛騨変換所」に導入されたHVDCの技術は、災害時の電力会社間の連系強化に役立つとともに再生可能エネルギーの普及を促し、「脱炭素社会」の実現に貢献することが期待されています。

お問い合わせはこちら

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周波数の異なる東日本と西日本の電力融通を可能に 
「飛騨変換所」が運用開始


日立のHVDC(高圧直流送電)システム

中部電力パワーグリッドは2021年3月、周波数の異なる系統連系を可能にする飛騨信濃周波数変換設備(以下、飛騨変換所)の運用を開始しました。建設されたのは岐阜県高山市で、そこから89キロメートル離れた長野県にある新信濃変電所(東京電力)と結ぶことで、東日本と西日本の間で電力の融通ができるようになります。

この飛騨変換所に導入されたのが、日立製のHVDC(高圧直流送電)システムです。これにより、周波数の異なる電力系統間をつなぐことができるようになり、地震などの大規模災害のときに、電力が不足しているエリアに大容量の電力を供給できるようになります。また、長距離送電にも適しているため、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及につながることが期待されています。

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きっかけは東日本大震災の「計画停電」

「この飛騨変換所の設置計画がスタートしたのは、10年前(2011年)の東日本大震災がきっかけでした」

こう語るのは、変換所を建設した中部電力パワーグリッドの洞(ほら)浩幸所長です。

「当時、震災によって東日本の太平洋沿岸部にある発電所がかなりのダメージを受け、首都圏の電力が足りなくなりました。西日本の発電所から電気を送ることが検討されたのですが、変換設備の容量に限界があったため、結局東日本では、計画停電や節電をお願いすることになりました。そうした社会的に厳しい状況を招いてしまったことが契機となり、90万キロワットの容量を持つ周波数変換設備を、この場所に建設することになったのです」


中部電力パワーグリッドの洞浩幸所長

HVDC(高圧直流送電)のメリットとは

日本の発電事業は、明治時代にアメリカとドイツから発電機を輸入したことに始まります。そのときの発電機の規格の違いから、現在も西日本では60ヘルツ、東日本では50ヘルツと周波数の異なる電気が使われています。そのため西日本と東日本の間で電力を融通しあえるようにするには、変換装置によって電気を交流から直流に変え、さらに周波数を変化させる必要がありました。


それを可能にするのが、飛騨変換所に採用されたHVDC(高圧直流送電)と呼ばれるシステムです。HVDCとは「High Voltage Direct Current」の頭文字をとった言葉で、送電を高電圧の「直流」で行う方式を指します。「交流」による送電に比べて、送電途中に失われる電力が少なく、長距離でも大量の送電ができるうえ、周波数が異なる系統をつなぐことにも適しているという特長があります。

「交流送電では50キロメートルぐらいがケーブルで送れる限界ですが、直流送電であれば1,000キロメートルを超えてもコストパフォーマンス良く送電することが可能です。また交流送電に比べて、直流送電は安定性が高いことも大きなメリットの一つです」(洞所長)


2021年3月に運用を開始した「飛騨変換所」

豪雪地帯での困難な建設

日立は1970年代から、日本で設置されたほとんどのHVDCプロジェクトに、中心的な立場で携わってきました。これまで蓄積してきた技術と知見は、飛騨変換所にも活用されています。

日立側の現場責任者であり、現場事務所の所長としてプロジェクトの進行を担った梶原悟さんは次のように語ります。

「日立は飛騨変換所のなかでも、とくに重要な設備を納入しています。メインとなるのが、交流の電気を直流に変える『サイリスタバルブ』です。また、何らかの異変が起きたときに電流を遮断するGIS(ガス絶縁開閉装置)という装置や高調波を吸収する交流フィルターなども、当社が開発した製品が採用されています」


雪に覆われた飛騨変換所

飛騨変換所が設置されたのは、標高1,000メートル以上の山岳地帯で、厳冬期には2メートルもの豪雪に覆われる場所です。外気温度は冬にマイナス30℃の厳寒となる一方で、夏には35℃の猛暑に変化します。

「大雪が降り続ける環境で、短期間のうちに設備の建設を完了することが最大の課題でした。そうした厳しい気象条件においても、長期にわたって耐えられるシステムを設計する上で、これまで蓄積してきた日立のノウハウが存分に生かされています」(梶原さん)


プロジェクトを担当した日立製作所の梶原悟さん

再生可能エネルギーの普及に向けて

こうして稼働が始まった飛騨変換所。周波数の異なる電力の融通を可能にするだけでなく、再生可能エネルギーの普及にも期待が高まっています。

国内では、風力発電やメガソーラー発電など、再生可能エネルギーの大規模生産に適した地域と、電力の大量消費地である都市部が、かなり離れた場所にあります。そのため、再生可能エネルギーを消費地に送るためには、長距離の送電網が必要となります。

また、近年広がりを見せる洋上風力発電をさらに拡大させるには、海底ケーブルによる長距離の送電が求められます。そのような再生可能エネルギーの長距離送電に、HVDCが威力を発揮するとみられています。

「大きな電力を需要地まで送電するというニーズがこれからどんどん増えると思います。そういった意味では このHVDCは今後活用が進む技術だと思います」(洞所長)


再生可能エネルギーの普及にも期待が高まる

日立は2015年11月、電力設備の世界的メーカーであるABB社と合弁会社「日立ABB HVDCテクノロジーズ株式会社」を設立し、お互いの強みを生かしながらプロジェクトを進めてきました。2021年現在、変電所における直流変換プロジェクトでは、日本国内、世界ともにシェアナンバー1となっています。

このたび「飛騨変換所」に導入されたHVDCの技術は、災害時の電力会社間の連系強化に役立つとともに再生可能エネルギーの普及を促し、「脱炭素社会」の実現に貢献することが期待されています。

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  • 取材・執筆: 大越 裕
  • 公開日: 2021年6月8日