Hitachi

新幹線や通勤電車の製造現場を公開、日立の笠戸事業所

公開された「N700S」新幹線

新幹線や通勤電車などの鉄道車両を設計・製造する日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)が5月13日、事業所内を公開するイベント「Hitachi Open Day 2023」を開催しました。普段は非公開の製造現場が見られるとあって、周辺地域の親子連れや鉄道ファンを中心に約3,800人が同事業所を訪れました。

歴史記念館にレストア新幹線を展示

日立製作所笠戸事業所

笠戸事業所は1921年の創立で、敷地面積520,000平方メートルを有する国内外向けの鉄道車両の設計・製造拠点です。新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で、事業所の公開イベントは5年ぶりの開催となりました。

歴史記念館の「500系新幹線」

今回のイベントで人気を集めたのは、新たに建設された歴史記念館です。館内には、1996~1998年に同事業所で製造・発送した、最高時速300キロメートルでの日本初の営業運転を成し遂げた「500系新幹線」のレストア車両(復元・修理された車両)を展示。車両内にも入ることができ、特徴的な紫色の座席や座席横にある荷物置きなど、当時の懐かしい雰囲気を感じることができます。

「500系新幹線」車内

ほかにも、館内には、車両に留められたボルトをハンマーで叩き、音の違いを聞き分けてボルトが閉まっているかを確認する打音検査や、車両の外壁に用いられているアルミ素材に実際に乗って強度を体験できるコーナーも設置されています。来場者は写真を撮ったり、展示された車両に触れたり、思い思いに楽しんでいました。

車両製造の現場感

組み立て途中の台湾都市間特急「EMU3000」

さらに今回のイベントでは、車両製造の現場も公開されました。座席が取り付けられていない骨組みの車両、台車のない車両――。多くの来場者が普段は見られない、組み立て途中の車両に見入っていました。

製造の現場では今、リサイクル素材や二酸化炭素の排出を伴わないでつくられる素材を車両に使う試みが行われています。工場自体のカーボンニュートラルにも挑戦しており、車両生産本部の流川博光本部長は「新しいテクノロジーでカーボンニュートラルを実現していくのが私たちの使命です」と話します。

開かれた工場、紡ぐ歴史

取材に応じる岩崎充雄事業所長

今回、笠戸事業所を初めて訪れた山口県周南市の小学6年生、若山魁翔さんは「こんなに近くで電車を見られるとは思いませんでした。駅にいる時とは違う角度から電車を見られて楽しかったです」と目を輝かせました。

笠戸事業所が立地する下松市で生まれ育った岩崎充雄事業所長も、子ども時代の工場への思い出について「塀に囲まれているので、外からは何をやっているのか分かりませんでした」と振り返る一方、開かれた工場への思いを次のように述べます。

「イベントに訪れた子どもたちが製造現場や鉄道車両に目を輝かせて喜ぶ姿を見て、事業所を公開していく重要性を感じました。将来、子どもたちが鉄道事業に関わるきっかけになったら嬉しいですね」

100年以上にわたり鉄道車両の製造を通じて人々の移動を支える笠戸事業所。岩崎事業所長は、事業所の公開イベントを定期的に企画し、歴史記念館を地域住民や顧客向けに公開する考えです。その上で「製造の歴史を未来へ紡いでいきます」と意気込みます。