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社会イノベーション

イノベーションの芽を育てる、日立の人間共生ロボットプロジェクト イノベーションの芽を育てる、日立の人間共生ロボットプロジェクト

  • R&D(研究開発)

少子高齢化の進行や労働人口の減少を背景に、サービスロボットへの期待が高まっている。しかし、人と共存し、人をサポートするロボットの開発には、今なお技術的課題が少なくない。そのような中、人とロボットが共生する未来を実現するための研究開発が加速している。

愛知万博で注目を集めた日立の「人間共生ロボット」

日本では、労働人口の減少などを背景に、ロボットが再び注目されている。1970年代に産業用ロボットが実用化されて以来、製造分野を中心にロボットが大いに活躍してきたが、近年の人口減少社会においては、サービス業などの非製造分野での省力化、自動化が求められているからだ。
これに対して日立は、産業用ロボットの黎明期より、時代をリードする先端的な研究開発を進めてきた。人工知能ロボットや極限作業用4脚ロボットの開発はその代表例だ。
そして、日立は将来高まるであろうサービスロボットに対するニーズを想定し、2004年より「EMIEW(Excellent Mobility and Interactive Existence as Workmate)」の開発プロジェクトをスタートさせた。「EMIEW」は、人と共存し、人をサポートするという「人間共生」をコンセプトとし、人間との共生活動に欠かせない俊敏な移動機能や人との対話のための遠隔音声認識・合成機能などが搭載されることになった。機械研究所*をはじめ、中央研究所、デザイン本部など日立グループの力を結集した結果、わずか1年で完成。2005年開催の日本国際博覧会(愛知万博)では、「EMIEW」と人間のクラウン(道化師)との競演による大道芸のパフォーマンスを披露し、来場者を大いに喜ばせた。


2005年に愛知万博でお披露目された初代「EMIEW」

*1
機械研究所は、2011年4月、エネルギー・環境システム研究所とともに日立研究所へ統合
*2
「EMIEW」は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託事業「次世代ロボット実用化プロジェクトプロトタイプ開発支援事業」の一環として開発されたものです

実用性重視の「EMIEW2」に搭載された日立の先端技術

さらに、日立は安全性と実用化の両立をめざし、「EMIEW2」の開発に着手した。実用性重視の観点から、大きさや重さ、移動速度を事前に決めたうえで小型化、軽量化を進める一方、雑音の中でも人の声を聞き分けたり、比較的小さな床の段差を乗り越えたりするなど、性能の向上が図られた。人との親和性を高めるため、あえてボディのデザインを先行させる、「EMIEW」とは逆の開発プロセスがとられた。
こうして2007年に完成した「EMIEW2」は、オフィスや公共施設などでの案内サービスを念頭に、ネットワークカメラとWeb上から収集した画像データベースを活用し、ものを認識して探し出すといった、さまざまな先端技術が盛り込まれている。たとえば、リモートブレインコンセプトもそのひとつ。ロボット本体に組み込まれる機能を、走行制御や障害物回避などのリアルタイム系処理と、負荷の高い認識・解析処理をバックヤードの情報プラットフォームに分けることで、ロボットの小型軽量化と高度知能処理を両立させることを可能にした。これは、開発当時には現在用いられている用語としては存在しなかった「クラウドコンピューティング」的な発想を先取りしたものであった。


身長80cm、体重14キロと小型・軽量化された「EMIEW2」

自律移動技術をキーに広がる他分野への応用

こうした「EMIEW2」の研究開発で培われた先端技術は、自律移動技術を核として次世代の事業へ向けて展開しようとしている。すでに日立は、自己位置の推定や物体の認識などの知能化技術、そして障害物回避自律走行などの運動機能に関する技術を応用し、「自律移動」する物流支援ロボットを実用化した。
また、携帯端末で呼び出し、指定した場所から目的地まで安全に人を運ぶ自律送迎機能を持つ搭乗型移動支援ロボットも開発を進めている。これは2011年から茨城県つくば市の公道で実証実験が続けられているもので、今後、加速するであろう高齢化社会を前に、高齢者などの安全で快適な近距離移動を実現するモビリティとして期待も大きい。


インフラレス自律移動を可能にした物流支援ロボット「Lapi」


実証実験を続けている搭乗型移動支援ロボット「ROPITS」

人の暮らしを豊かにするイノベーションに向けた日立の研究開発

現在、日立は、同じ内容をさまざまな別の言いまわしで質問されても対応できる柔軟な対話機能、死角が多い場所で、万が一、人が出てきても回避できるような安全でスムーズな自律移動を可能とする機能を追加するなど、「EMIEW2」のさらなる改良に取り組んでいる。対話機能の進化は、人とロボットのより自然なインターフェースにつながるものであり、また、自律移動の技術は、将来的には自動車の自動運転への応用も考えられる。
このように、日立は「EMIEW2」の先端技術をさまざまな分野の革新的なイノベーションへつなげることも視野に入れている。研究開発は、いわばイノベーションの芽を育てる取り組みにほかならない。日立は、人間共生ロボットの研究開発を通じて、人口減少社会に伴う問題の解決にとどまらず、人の暮らしを安全・安心、快適にするイノベーションの創出に寄与していく。

R&D(研究開発)

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