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社会イノベーション

食の安全・安心と安定供給を支える、
日立の統合製造管理システム

雪印メグミルク株式会社が、全国に分散していたチーズ・マーガリン工場を統合、新たに広大な工場を建設することになった。
ねらいは、工場のIT化ならびに先進的な生産物流体制の構築による、さらなる食の安全・安心の確保と安定供給の達成。
その実現のためには、生産管理システムによる「統合コントロール」が必要だった。

  • 製造
  • アナリティクス

食品業界が抱える課題に応える日立の社会イノベーション事業

現在、食のグローバル化、製造現場での労働力不足、生産や流通の複雑化など、食をめぐる社会環境は、めまぐるしく変化している。それに加えて、消費者の食の安全・安心への関心も高まっていることから、食品業界には、健康に良い食品を安全・安心に、安定的に供給していくことが求められている。食品業界が直面しているそうした状況の中、2011年6月、雪印メグミルク株式会社が新たに建設する阿見(あみ)工場の立ち上げに参画することとなった。

新工場の建設は、雪印メグミルク株式会社が将来にわたって事業を成長させていくために、生産物流体制を見直す構想のもとで計画された。茨城県阿見町に建設される阿見工場は、分散していた関西・横浜・厚木の3つの製造工場と関東と関西に分かれていた製品倉庫の機能を1つに集約することで生産物流体制の効率化をめざした。
日立は、新工場の効率化にとって最も重要な統合生産管理システムの構築に基本構想段階から参画し、生産物流体制のIT化を通じて安全・安心な食を安定的に消費者に届けるという課題の解決に取り組むことになった。

国内最大級を誇る生産拠点を建設する
ビッグプロジェクトへの挑戦

阿見工場の建設計画は、雪印メグミルク株式会社にとってもかつてないビッグプロジェクトであった。建設にあたって、3つの目的が掲げられた。

  1. 総合物流センターを併設し、トータルサプライチェーンマネジメントの再構築。
  2. 商品の種類が200以上にもなるチーズとマーガリンの製造ラインの効率化・合理化。
  3. トレーサビリティ(製品追跡)の強化。

これら3つの目的の達成のために不可欠だったのが、工場の生産を支えるITシステムである統合生産管理システムの構築であった。
新規に開発する統合生産管理システムは、生産管理をはじめ、製造プロセス、ライン管理、各機器の制御などといったサブシステムの開発に加えて、需給計画や業務実績管理、物流倉庫管理などの他システムとの連携も図らなければならなかった。全体のITシステムを担当する日立は、各システム間の統合を持たせるための調整も行った。

さらに日立は、統合生産管理システムと、工場に設置される製造設備・検査設備との連携を短期間で行い、発電機や空調・冷凍機などIT(情報技術)・OT(制御技術)以外の設備についてもトータルで提案を行った。そして、基本構想段階からおよそ5年の歳月を経て、統合生産管理システムが完成し、2015年5月に国内最大級の規模を誇る乳製品の生産拠点が竣工した。


阿見工場の外観


阿見工場で生産される乳製品

統合コントロールが
最先端の生産物流体制を実現

阿見工場の統合生産管理システムのベースとなっているのは、日立の統合製造管理システム「Product NEO」である。日立が食品業界向け製造管理システムで培ってきたノウハウを凝縮した、経営と現場を直結する工場基幹系MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)である。
この統合生産管理システムによって、計画当初の目的は次のように達成された。

  1. 物流ネットワークを見直し、製造と物流の拠点がひとつとなったことで、輸入原料の調達、国内調達、製造、物流管理といった一連の工程がシームレスにつながり、バリューチェーンの形成が達成できた。その結果、大きなコストメリットを生み出した。
  2. 倉庫からの原材料の供給・製造設備の設定・配合管理を自動化したことで、生産効率の大幅な向上を実現。そして、生産品目や生産量に応じて自動で制御されるのはもちろん、急な生産変更にも迅速に対応できるほか、自動化されていない工程でも、人手作業と自動制御を協調させることによって、誤作業防止が図られている。
  3. トレーサビリティの強化については、製造・物流・品質管理のデータを統合管理することによって、トレースデータの精度、細かさ、幅広さを確保することができ、1ケース単位でのトレースを実現した。また、情報検索の時間も大幅に短縮されるなど、体制の強化が図られた。

こうして「Product NEO」を中心に工場の統合コントロールが可能になった。生産プロセスを管理するITの領域と、製造ラインや各機器というOTの領域が融合し、受注から製造・発送に至るまでリアルタイムに管理できるようになったことで、安全・安心な食を安定的に供給する次世代型生産物流体制が実現したのである。


中央制御管理室では、乳製品の生産状況の一元管理から、搬送や資材などを管理する各システムの状況までを全体的に見ることができる。

統合生産管理システムにより一元管理され、数多くの新技術が導入された各製造ライン

モノづくりの現場を革新する
社会イノベーション創出に向けて

阿見工場の建設計画が持ち上がった当時、IoT(モノのインターネット)という言葉を知る人はほとんどいなかった。ところが、ITの力を限界まで使おうということから、設備には数多くのセンサーが取り付けられた。今後は、これらセンサーから得られるデータを分析・活用することにより、チーズなどの商品の歩留まりをはじめ、設備保全に役立てるなど、「考える工場」へと進化させることも考えられている。

操業開始以来、阿見工場の統合生産管理システムは順調に稼動し、大きな効果を上げているが、さまざまな課題を抱えるモノづくりの現場を見直し、経営改善につなげようとする企業は多い。そうした現状を見据え、日立は社会イノベーションの創出をめざして、今後もお客さまとの協創を通じ製造分野の革新的なソリューションの提供に取り組んでいく。


蓄積したデータを活用して、工場のさらなる進化に役立てていく

[2017年3月制作]

安全・安心な食品をお客さまにお届けするために。動画で見る雪印メグミルクとの協創事例