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社会イノベーション

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世界大手の総合不動産サービス企業のJLL(ジョーンズ ラング ラサール株式会社)は、80カ国、300を超える拠点で事業を展開している。同社は従来の不動産の売買や管理に留まらず、従業員の生産性向上に力を入れる企業に対し、「働き方」や「職場の現状」を分析することで、企業価値の向上につながるサポートを提供している。そのJLLが、日立のIoT技術に着目。シンガポールのオフィスを対象に、人の動きや会議室等の利用状況をデータ化し、AIを使って分析する実証実験を行った。日立との協創により見え始めた、人と職場の関係の新たな未来とは?

事業の概要

  • 企業価値を高めるオフィスの有効活用
    働き方の改革による生産性の向上は、世界の企業にとって共通の課題だ。JLLは、オフィスの利用実態のデータを、IoTで収集し、AIを活用して分析するビジネスモデルの確立のため、日立をパートナーに選んだ。
  • さまざまな情報をリアルタイムで集め、分析する日立のデジタル技術
    シンガポールにある日立アジア本社ビル内のオフィススペースで実証実験を実施。これまでより早く、多様なデータをリアルタイムで収集した。
  • 不動産業に変革をもたらす「ゲームチェンジャー」へ
    日立の提供するIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」によって、さまざまなビジネス分野で新たな革新が生まれている。

背景

企業価値を高めるオフィスの有効活用

JLL(ジョーンズ ラング ラサール株式会社)は、18世紀の創立以来、200年以上の歴史を持ち、不動産エキスパートとして、不動産価値を最大限に高めるためのサービスを包括的に提供している。日本でも政府主導で取り組みが始まった「働き方改革」は、世界的にも共通の社会課題である。国際的なデータを見ても、1人当たりの労働時間の短さと生産性には相関関係があり、「1 人当たり労働時間が10%減少すると、1時間当たりの労働生産性は25%高まる」と言われている(*1)。

*1:内閣府「平成29年度 年次経済財政報告」より
(参照 http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je17/pdf/p02023.pdf)

工場での作業の効率化が生産性向上につながるように、オフィスの有効活用による働き方改革が、生産性向上、そして企業価値の向上につながる。JLLは、国、業種、規模、文化の異なるさまざまな企業に対し、オフィス活用の助言を行ってきた。それは長い歴史に培われた経験と、オフィス現場の詳細なデータの分析に基づいている。

「労働環境の効率化には、複数のデータを組み合わせて分析を行います。会議室の予約、デスクの活用や人の移動、人間関係の観察などです。しかし、従来は実際に調査員を企業のオフィスに派遣し、設備の利用状況や人の動きを調べるという、手間と時間のかかるものでした」(JLLインターナショナルダイレクター、イアン・マッケンジー氏)

JLLは、世界中でサービスを展開。約4億900万u(約1億2,400万坪)の不動産ポートフォリオを管理しており、アジアでの展開に力を入れている。
出典:http://www.joneslanglasalle.co.jp/japan/ja-jp/AboutUS

JLLは、不動産ビジネスの未来には、IoTを活用したデータ収集、その分析にAIの活用が必要だと考え、そのビジネスパートナーに日立を選んだ。両者は、これまでにも世界中のオフィスの管理や運用で、多くの協力を重ねてきた。その実績を踏まえ、未知なる専門領域への挑戦に、日立を伴走者に選んだのは「自然なことだった」とマッケンジー氏はふり返る。

「私たちは不動産ビジネスの解決能力を高めたかった。日立にはその技術があった。これは賭けではなく、次の1歩に向けたアイデアが日立となら生まれる確信がありました。実際、共同事業がスタートしてから今日まで、すばらしい手応えを感じています」(マッケンジー氏)

実証

さまざまな情報をリアルタイムで集め、分析する日立のデジタル技術

JLLと日立との協創は、シンガポールにある日立アジア本社ビル内のオフィススペースを使った実証実験から始まった。これまでJLLが、調査員を使って集めていた会議室やデスクの利用状況を、各種小型センサーを用いてリアルタイムで収集。また、社員が身に付ける加速度センサー(*2)で個々人の行動パターンも集められた。

「企業は、オフィスという空間に対して高額なコストを払っています。しかし、多くの企業が空間を有効に活用できていないのが実情です。オフィスがどのように使用されているかを、より詳しく・早く集めることが可能になり、より生産的な職場となる創造的な不動産ソリューションを考えることができるようになるでしょう」(マッケンジー氏)

集められた膨大なデータは、AIを用いて解析し、オフィス活用のソリューションに結びつけるのが実証実験の目的だ。経済成長が著しい東南アジアでは、都市開発が活発化している。日立アジアと日立のデジタル技術が、JLLのサービスの向上に役立つ知見を提供することで、地域の社会イノベーションに貢献することが期待されている。

展望

不動産業に変革をもたらす「ゲームチェンジャー」へ

JLLと日立の協創には、日立のIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ) 」が用いられた。「Lumada(ルマーダ)」には、日立が培ってきた現場を動かすOT(制御・運用技術)と時代をリードする先進のIT が凝縮され、デジタルソリューションをワンストップで提供する。

「日立との協創には、素晴らしい思考との出会いや、素晴らしいアイデアの発見があります」(マッケンジー氏) 「日立との協創には、素晴らしい思考との出会いや、素晴らしいアイデアの発見があります」(マッケンジー氏)

「世界の不動産業は、テクノロジーの波に乗り遅れていました。しかし、日立との協創は、互いのアイデアが見事にかけ合わさり新たなプロジェクトを生み出すことを可能にしました。今回のAI活用の次は、やはり日立の得意とするロボット技術の活用にも強い関心を持っています。私たちの協創は、不動産サービスを革新的に変えていくことでしょう」(マッケンジー氏)

ある分野に革新をもたらすような、大きな影響を生み出す者を「ゲームチェンジャー」と呼ぶ。マッケンジー氏は、JLLと日立の協創はまさに「ゲームチェンジャー」と呼ぶにふさわしく、大きな変化を不動産マーケットにもたらすだろうと語った。

「JLLと日立は、データ活用で不動産ビジネスが変革する最前線にいます。そしてそれは、近い将来、新しいサービスとしてお客さまのもとへ届くことでしょう」(マッケンジー氏)

公開日:2017年12月
ソリューション担当:日立製作所 アーバンソリューションビジネスユニット