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社会イノベーション

患者にやさしいがん治療をめざす、日立の陽子線がん治療システム 患者にやさしいがん治療をめざす、日立の陽子線がん治療システム

  • ライフ&エコノミー

近年の医療技術のめざましい進歩は、従来は困難であった病気の治療も可能にしてきた。その一方で、生活習慣の変化などを背景に、今後がんの患者数が増えると予想されている。がん医療の進歩は、世界の人々の生命と健康にとってますます重要な課題となっている。

日立が培ってきた加速器技術をヘルスケア分野に応用

先進国を中心に死亡原因の上位となっているがんへの対策は、今や世界的な課題となっている。ヘルスケアを21世紀の社会を支える不可欠な社会インフラと考え、あらゆる過程で最適な医療の提供に貢献することをめざす日立は、患者のQOL(Quality of Life)を重視したがん治療の取り組みを続けている。


がんに照射する陽子線をつくり出す加速器

その例のひとつが、長年培ってきた加速器技術を中心に日立グループの総合力を結集、いち早く開発に取り組んだ陽子線がん治療システムである。
陽子線がん治療は、従来のX線による放射線治療に比べ、正常組織への負担が少ない「患者にやさしい治療」だ。
2001年、日立は、筑波大学陽子線医学利用研究センターに陽子線がん治療システムを初めて納入。2006年には、世界のがん治療をリードするアメリカ テキサス州ヒューストンにあるMDアンダーソンがんセンターにおいて陽子線がん治療システムによる治療も始まった。以来、7年間で同がんセンターでの陽子線がん治療システムによる治療患者は4,800人を超え、その治療は高い評価を得ている。


アメリカ テキサス州ヒューストンにある、MDアンダーソンがんセンター


患者に陽子線の照射を行う、回転ガントリー治療室


陽子線治療システム全体の運転制御・監視を行うモニター画面

患者によりやさしいがん治療を実現する日立の技術

さらに日立は、複雑な形状のがんであってもピンポイントで腫瘍部分に高レベルの陽子線を照射する「スポットスキャニング照射技術」を独自に開発。2008年にMDアンダーソンがんセンターにおいてアメリカで初めて臨床応用がなされた。この技術には、不要な放射線の発生が少ないという特長があり、患者によりやさしい治療を実現することができる。こうした実績のもと、国内では名古屋陽子線治療センターなどの医療機関で「スポットスキャニング照射技術」を活用した陽子線がん治療が行われている。

日立がめざす「やさしい医療」の追求を世界へ

今、日立は、北海道大学と共同で新型の陽子線がん治療システムの開発を進めている。「スポットスキャニング照射技術」と北海道大学がX線治療で培った「動体追跡照射技術」を組み合わせ、呼吸等で位置が変動する腫瘍に対しても高精度に陽子線を照射することができる陽子線がん治療システムで、「QOLに優れた」がん治療が実現すると期待されている。
一方、海外でも日立の技術力が評価され、アメリカでは陽子線がん治療システムのさらなる建設が進行中。日立は、陽子線がん治療システムの開発を通じて、世界の人々が健康で安心して暮らせる社会の実現に貢献していく。


日立と共同で新たなシステムの開発を進めている、北海道大学陽子線治療センター


2013年6月から建設を開始した、アメリカの医療施設