Hitachi

グローバル企業の経営判断を支援する
人工知能の基礎技術を開発

意見を提示する人工知能システムの多言語活用に向け、日立は、賛否のわかれる議題に対し、膨大な日本語記事の分析から、賛成・反対双方の立場で根拠や理由を伴った意見を日本語で作成し、提示する人工知能(AI)の基礎技術を開発しました。これまで言語ごとに必要とされていた“文を識別するための専用プログラム”が、ディープラーニング*1を用いることで不要となり、グローバル企業の経営判断を支援するAIの実現に貢献します。

日本語での論理的な対話を可能とするAI

これまでも日立は、企業の経営判断を支援するAIの実現をめざし、大量の英語記事を分析して、英語で意見を提示するAI基礎技術の開発*2を進めてきました。しかし、こうした従来技術では、英語ならば英語と、その言語特有の文法をプログラミングし、それをもとに根拠や理由にあたる文を識別・抽出しなければなりません。このため、他の言語へ展開させる際には、新たに識別のための専用プログラムを構築する必要があり、普及拡大の点が課題でした。今回のディープラーニングを用いた人工知能(AI)の基礎技術は、言語に依存することなく、議題に対して関連性の高い根拠や理由の文を識別可能になったため、さまざまな言語の文書データを対象とした汎用システムの構築が可能で、国内企業でニーズの高い日本語への対応もスムーズになります。

さらなる企業の経営判断を支援するAI

この基礎技術に支えられた、論理的な対話を可能とする人工知能システムは、数千の記事に対し、根拠や理由を表す文を抽出、学習することで、そのなかにある法則やパターンを自ら導き出し、根拠文や理由文を識別します。また、ニュース記事や調査報告書など、文章中のどの語句に特に注目すべきかを推定しながら学習する「注目箇所推定機能」をディープラーニングに追加しているため、よりその場の議題や価値概念に関係する語を的確に捉えられるようになっています。日立は今後も、この基礎技術に関連して、さらなる研究開発を推進し、グローバルに企業の経営判断などを支援するAIの実現をめざします。

*1
ディープラーニング:脳の神経回路のメカニズムを取り入れた機械学習の一種。構造は、入力層、中間層、出力層の3つからなる。ディープラーニングは、中間層を増やすことで、従来と比較して複雑なモデルが表現可能となり、音声認識、画像認識などの分野で高い認識率を実現している。
*2
2015年7月22日ニュースリリース「論理的な対話を可能とする人工知能の基礎技術を開発

公開日:2016年6月2日